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それから会話を弾ませながら食事を終え、後片付けをしていると気付けば空は真っ暗になっていた。



「圭君見送りありがとう。良ければまたご飯作りに行くよ」  


「うん、いつでも来て。莉子さんのご飯が食べたいって言ったことは本心だから」


紆余曲折あったけど、なんだかんだ嬉しそうに食べてくれた圭君。

だから、もう一度提案してみると、今度は自然と微笑み返してくれて、私達の間に穏やかな空気が流れる。



その時、隣にいた櫂理君に突然腕を引っ張られ、何やら眉間に皺を寄せて私の手を握ってきた。


「櫂理君、もしかして拗ねてる?」


「…………別に」


不機嫌そうな顔を覗き込むと、櫂理君は小さく頬を膨らませてそっぽを向いてしまう。


そんな彼を可愛いと思ってしまうのは、やっぱり姉バカなんだなと自覚しながらも、小さく笑みが溢れた。



「あ、悪い。ちょっとコンビニ行ってくるから待ってて」


すると、櫂理君は思い出したように私から手を離すと、そのまま私と圭君を置いて足早に向かいにあるコンビニへと歩き出す。


その間、私は圭君とお喋りをしながら櫂理君の帰りを待っていた時だった。



「……木崎?」


不意に脇から圭君を呼ぶ声が聞こえ、振り向くと、そこにはニッカポッカ姿の人相がすこぶる悪い男二人が立っていた。


しかも、片方は坊主で剃り込みが入っていて、もう片方はパンチパーマにサングラスと。

うちの生徒に負けないくらいの柄の悪さに、私は思わず圭君の後ろに隠れてしまう。


「あ、先輩。久しぶりですね」


一方、圭君は普段と変わらない笑顔を振り撒き、爽やかな挨拶をしてきた。


どうやらただの知り合いのようで、私は少しだけ警戒心を緩めた矢先だ。



「元気そうだな。それに相変わらず女連れてんのか?本当にどこまでも生意気な奴だな」


何やらあまり友好的ではない絡みに、不吉な予感がしてくる。


「人聞き悪いですねー。俺はそこまで誰かと付き合った覚えないですよ」


けど、圭君はまったく気にする素振りはなく、終始落ち着いた様子で受け答えをしていた。


「やっぱり、お前のその余裕な態度いつ見てもムカつくな。あの時の恨み忘れたわけじゃねーぞ」


すると、突然坊主頭の男が圭君の胸ぐらを掴み上げ、今にも殴りかかってきそうな勢いに、私はその場で狼狽える。


一体この人達に何があったのか。


知りたいような、知りたくないような気持ちに駆られながらも、とにかくここは穏便に済ませたくて、圭君の服の裾をおそるおそる引っ張った。


「あの……圭君。私もコンビニ行きたいから一緒に来てくれる?」


とりあえず、この人達から早く離れようと、咄嗟に思い浮かんだ口実を口にした途端、坊主男は突然舌打ちをしてきた。


「めちゃくちゃ可愛い彼女じゃねーかよ。いいな、リア充満喫してて。マジでムカつくから一発殴らせろよ」


そして、完全なる嫉妬に男は拳を振り上げた直後。 


圭君は笑顔のまま力強く男の胸板を蹴り付けた瞬間、約二メートルくらい先まで坊主頭は吹っ飛び、そのまま壁に強く頭を打ちつけた。


「先輩、空気読んでください。普通そこで殴りますか?だから、いつまでも彼女出来ないんですよ」


頭を強打し、既に意識がないにも関わらず、圭君は先程から全く変わらない態度で話しかける姿に、私は少しだけ背中がぞくりと震えた。




「なにやってだ?」 


すると、丁度コンビニから帰ってきた櫂理君が現れた途端、パンチパーマの男はかなり焦った様子でのびている坊主男の元へと駆け出した。


「おい、起きろ!さっさと行くぞ!」


そして、倒れている坊主男の体を思いっきり揺さぶると、未だ意識がはっきりしていない状態のまま、無理矢理引っ張り、逃げるようにこの場を去っていった。



どうやら、向こうは櫂理君のことをよく知っているようで。

ここまで顔が知られていることに、相変わらず驚かされる。




「なんだ。また虫がわいてたのか」


「まあね。ここ最近多くて」


「暖かくなってきたからか?てか、時期関係あんの?」


「さあ?」



それから、側から聞いていれば、本当に虫の話をしているようにしか見えない二人に、私は暫くの間言葉を失う。



そして、圭君が何故我が校No.2のポジションに立っているのか。


ここにきてようやくその意味が分かり、私は改めて彼等の恐ろしさを見に沁みて感じたのだった。

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