第4話 本当に、わけがわからないよ
あ、ありのまま今起こった事を話すぜ!
――田舎の寂れた教会の扉を開けたら、清楚系猫耳メイドに萌え声でお出迎えされたんだが?
何を言ってるのかわからねーと思うが俺も何が起こったのかわからなかった……。
何故荘厳さと静謐さを兼ね備えた教会にあんなモノが――。
「すすすすすみません間違えましたああああああ」
閉じたはずの扉が中から開けられたかと思うと、ジャンピング土下座を華麗にキメる清楚系猫耳メイド。
「本ッッッ当に申し訳ございません‼」
石造りの玄関にごいーんと豪快に頭を打ち付けて平謝りの猫耳メイド。
「あ、あー。いやいいから。とりあえず顔を上げてくれ。出来れば普通に立ち上がってくれると嬉しいんだが」
「はい――」
猫耳メイドの両目は薄っすらと涙に滲んでいる。
――羞恥心からか、それとも思いのほか打ち付けた額が痛かったのかは分からない。
「そ、それよりも。貴方様は何故、当教会に?」
そうだった。
完全に出会い頭のインパクトで教会へ赴いた理由をすっかり失念していた。
「これからちょっと大変な場所へ行くので成功を祈願しにきたんだよ」
ご利益があるのかどうか怪しくなってきたのでこのままとっとと大魔王城へ向かおうかとすら考えてしまう。
「まぁ‼ では貴方様が当代の勇者様ですのね⁉」
ぐっ。
無邪気に他人の触れて欲しくない所に触れて来やがる。
ま、まぁこの子はいきさつを知らないし仕方ないか。
「いや、違う。でも王の命令を受けてあの城に行くのは本当だ」
しかし、めちゃくちゃ濁したのによく気づいたな、大魔王城へ行くと。
それともこの村は既に壊滅的な被害を――いやそれは無いな、村の中には魔物一匹すらいなかった。
「なるほどわかりましたよ! 勇者という大切な職業を、たかが占いなどと言う不確実で不確かで民を思い通りに煽動する確実性の無い何かに頼るよりも実力者を派遣して悪を滅そうと言う御心ですね!」
猫耳メイドが鼻息を荒くしてそう早口で訴えて来る。
『不確実』と『不確か』と『確実性の無い』は完全に意味が被ってるんだが。
ここに長居してはダメだ。直感がそう告げている。
「ああうんそうそう。ソウナンダヨー。では、俺はこの辺で――」
「お待ちください!」
踵を返して出口へと向かう俺を何故か引き留める猫耳メイド。
「ええっと、何か?」
俺の服の裾を掴み、懇願する、と言うよりももっと真剣なすがるような眼差しを向けられる。
「是非、お供させてください!」
「は?」
いかん。素で返してしまった。
猫耳メイドに付いてきてもらったところで――。
だが冷静に考えれば恰好は別としても彼女は恐らく聖職者、癒しの奇跡を使える味方がいるというのは非常に心強い。
心強いのだが……。
「きっとお役に立ってみせます! ですから是非――」
素で聞き返した事は無視して自らの要求を繰り返すメイド。いやメイド姿の聖職者か?
ややこしいなオイ。
さてどうするか……。
昔々の勇者はたった数人で魔王を討伐したらしいし、その中には確かに聖職者がいたという記録は残っている。
でも実力がわからないしなぁ……。
まぁこの状況が既に全く意味がわからないのだけど。
承諾するまで逃がさない、と言う雰囲気に呑まれた俺は同行を許すことにした。
そうでないといつまでたっても出発はおろか、この意味不明な場所に居座る事になりそうだったからだ。
「わかった。是非同行していただこう。ただしちゃんとした服装に着替えてくれよ」
「はいっ‼ 40秒で支度してきます‼」
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