第24話 立ち止まれなかった理由
立ち止まれなかった理由は、
大きなものじゃない。
特別な事件があったわけでも、
誰かに強く引き止められたわけでもない。
——ただ、
止まったら
息ができなくなる気がした。
昼の世界には、
答えが多すぎた。
「ちゃんとしてる?」
「これからどうするの?」
「普通はさ。」
その一つ一つが、
私の胸を
少しずつ狭くしていく。
夜には、
それがなかった。
名前も、
将来も、
説明もいらない。
立ち止まるってことは、
考えるってことだった。
考えるってことは、
向き合うってことだった。
——あの頃の私は、
まだ向き合えなかった。
傷ついていることも、
寂しいことも、
誰かに手放されたことも。
だから、
歩き続けた。
歩いていれば、
問いは追いついてこない。
ネオンの下なら、
深呼吸ができた。
止まる勇気がなかった、
というより、
止まる場所を
まだ知らなかった。
今なら分かる。
立ち止まれなかった私は、
弱かったんじゃない。
生きるために、
動いていただけ。
——それが、
あの頃の
私なりの答えだった。
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