第14話 少し時間が飛んで、アキトくん登場



それから、

少しだけ時間が飛ぶ。


夜は相変わらず続いていたけれど、

私は前よりも

ゆっくり歩くようになっていた。


同じ道。

同じネオン。

同じ時間帯。


——でも、

何かが少し違った。


深夜の街は、

相変わらず声をかけてくる。

いつもの調子で。

いつもの距離で。


私は、

断ることにも、

ついていくことにも、

少し疲れていた。


ただ歩いて、

考え事をして、

立ち止まる。


——その時だった。


一台の車が、

静かに近づいてきた。


派手じゃない。

音も立てない。

でも、

妙に落ち着いた止まり方。


トヨタ車。


窓が下りて、

声がした。


「みほちゃん、久しぶり!」


——一瞬、

時間が止まった気がした。


名前を呼ばれる。

しかも、

自然に。


私は顔を上げて、

運転席を見た。


アキトくんだった。


——そうだ。

この人は、

私の名前を知っている。


アキトくんとの、

二度目の再会。


偶然みたいで、

偶然じゃない夜。


それまでの夜と、

これからの夜の

境目みたいな瞬間だった。

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