第12話 それから何日もの夜がすぎた
それから、
何日もの夜がすぎた。
「安全の象徴が、実は一番怖かった」
あの章に出てきた、
23歳の、
警察官の制服が似合いそうなお兄さんと出会ってから、
一ヶ月近くが経っていた。
——時間は、
何事もなかったように流れる。
その夜も、
私はいつものように
深夜徘徊をしていた。
深夜一時頃。
ローソンの前で、
人待ちをしていた。
理由はない。
ただ、そこに立っていただけ。
自転車のブレーキ音がして、
小太りの警察官が止まった。
見廻り中、という雰囲気。
職務質問だった。
声をかけられて、
少し話していると、
二分もしないうちに、
もう一人、警察官が来た。
自転車に乗った、
スマートな体型の、
妙に若い後輩警察官。
自転車を停めて、
板と、紙と、ボールペンを持って、
こちらに歩いてくる。
——その瞬間だった。
私は、
気づいてしまった。
初めて深夜徘徊をした夜、
声をかけてきたお兄さん。
あの人は、
やっぱり警察官だったんだ、と。
——冷静な人間観察と、
自分の勘は、
間違っていなかった。
顔。
立ち方。
距離の取り方。
全部、
つながった。
そして、
彼の方も
気づいたみたいだった。
私を見た瞬間、
唇が震えた。
手が、わずかに揺れた。
声が、かすれた。
——覚えている、
という反応だった。
夜の街で、
偶然を装った再会。
でも、
これは偶然じゃない。
現実が、
追いついてきただけだった。
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