辰の祝言/2024
年初にて。
手の中で、艶のある布地とふわふわの布地が今にも抜け出そうとしている。それをしっかり掴み直すと、真ん中で波打つ少し硬めの生地が揺れた。
目線を進行方向に向ける。この上等な生地の重なりが、何人もの手によって支えられ……ずっと先まで続いていた。
ここは
「さっきから思ってたんだけど」
「な、なあに
「花嫁さん、見えなくない?」
見えない。なにしろドレスのスカートの裾がとんでもなく長いのだ。
龍みたい、と
「それにしても豪華! あたしもこんなドレス着てみたいなあ」
「着てみたいかな………」
沫ちゃんと沖ちゃんの会話に「お金持ちと結婚しなきゃ」と微笑む汀ちゃん。なんだかみんな浮き足立ってて楽しい気持ちになってくるし、こんな感じで介添えをしている従業員たちも参列するお客さんたちもぽつぽつお話ししているのでなんだかお祭りみたいなお式だ。ドレスはここまで凄くなくていいけど、こんな和気藹々としたお式なら私もしてみたいかも。
「ていうかどこまで歩くの? ブライダルの会場ってこんな大きかったっけ」
「今日はらくいちの庭を全部ブライダル仕様にしてるから、たぶん今歩いてるの会場じゃないよ」
「待ってらくいち一周するの? 参勤交代じゃん………」
「まあまあ、せっかくの晴れの日なんだから楽しく歩こう」
「ニューイヤーパレードって言えば少しはやる気でる?」
「おお。出るかも。龍の花嫁さまのニューイヤーパレード!」
沫ちゃんがステップを踏むと龍の鱗も愉快げに踊る。私たち含む近くの介添えがあわててチュールとサテンの裾を掴み直して、顔を見合わせて笑った。
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