■エピローグ 一月十五日

 誰にも、何も告げず、来る日も来る日も私は祈った。

 

 結局、逃げ出す勇気がなかった。

 天啓も聞こえていた。

 だから、儀式の恐怖をなかったことにした。


 しかし数日経ち、私は神から、真に全てを告げられた。


 神の言葉は、奇跡の薬であり、奇跡の毒である。

 

 巫女が純潔だからこそ、毒は巫女に届かず、薬だけが巫女に授けられていた。

 齢五十を迎えた時に初めて、純潔の加護を失っても毒を拒むことができるようになる。


 加護を失った私は、それに気づかないまま、圧倒的に大きな毒を、人々へ与え続けていたのだ。


 その結果がどうだ。


 たちまちに作物が枯れ、神社の人たちは病に伏せ、治してきた病人たちと赤子は息絶えた。


 それを知ったのは、一月十五日。

 神が天へと帰る日だ。


 もう、取り返しがつかない。

 流す涙もない。


 周りの人間は床に伏せた。

 祈りに来る人もいない。


 私を止める人もいない。


 私は、自由になった。

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私にも祝福を 古里古 @karu6935

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