第2話 うちの恋人も大分末期的だった件について

「翔吾って私のことズリネタにできる?」


「いきなりぶっ飛んだ質問しやがって。なんだそれは」


 年頃の娘さんがズリネタとか言うなって…。


「ようするに、翔吾は私のこと、エッチングランデブーしたい相手として認識しているかどうかって質問です」


 ようするにコイツとヤレるかって話か?

 自分の彼女の前で他の女に欲情できるのかと問われて堂々と答えるメンタルの持ち合わせはないのだが。



 そりゃまあ、オカズにしたことあるくらいだし、きっとヤレるんだろう。


 顔はいい。胸はデカい。

 実はくびれフェチである俺の趣向によくマッチした細い体付きは、口を開かなければ非常に魅惑的だ。


 いわゆる砂時計型のスタイルってヤツだ。

 卑猥な視線を向けてはいけないと分かっていつつも、こいつのレオタード姿はいまだに脳内妄想フォルダにしまってある。


「まあ、一般論として見た目は良いよな翔子は」

「えへへー。また美少女って褒められた」

「だからそれはやめろって」


 天丼は叩かれるぞ? 


「彼女の前でそういう質問は答えにくいどころじゃないんだけどな」

「大丈夫。答えてあげて」


「まあ、恋歌ちゃんがそこまで言うなら質問に答えようか。結論から言えば可能だろう。お前見た目はいいしな」


「えへへ~、美少女って」

「だから天丼はやめろ。それと実行できるかは別問題だ。俺には恋歌ちゃんというこれ以上ない立派な恋人がいるのだからな」


「翔くん照れちゃうよー」


「本当の事だからな。でだ、結論から言えば引き受けることはできない。やはり恋人以外の男女がそういうことをする関係というのは健全とは思えんからだ」


「だよねー。そういう反応になるよね当然」


「翔くん。私も大部分はそれと同じ気持ちだし、いくら翔子ちゃんでも翔くんとエッチするのを許容はできないよ。でもさ」


 恋歌ちゃんは翔子の話を割と真剣に受け止めているらしい。


「翔子ちゃんなりに彼氏に喜んでほしいって思いがあるのは分かってあげてほしいんだよね」


「それは理解してるつもりだよ。曲がりなりにも幼馴染みだ。翔子が軽々しくこんな決断を下せる女じゃないってことくらいは知ってるつもりだ。だから俺を選んだんだろ?」


「翔吾…」


「悩みに悩んで、好きな男のために一肌脱ぎたいって心意気は買うよ。だけど、それでも寝取らせというのは不幸になる要素を含みすぎている。まずはどうしてもと言うのなら、その彼氏に会わせろ。そして俺が文句言ってやる」


 どうしたって寝取らせなんて健全な幸せルートに入れる選択肢として成立するとは思えない。


 よしんばそれが成立するとしたら、俺と、恋歌ちゃんと、当事者の翔子とその彼氏の間で、全員に信頼関係が成立している場合のみだ。



「俺が翔子の彼氏の為人ひととなりをよく知っている間柄で、仲良く信頼し合える関係であればそれも一考の余地はあるだろうさ。だが、俺はその彼氏を知らない。彼氏がそれを分かっていないのなら、まずはそれを理解しているのかどうかを確認したい」


「うーん、私としては翔吾さえよければ実行したいと思ってるんだ。それにさ、ある意味で、翔吾さえ納得してくれれば私と彼氏は幸せになれるんだ」


「どういうこった?」


「私は彼の事が好き。だから喜ぶならなんでもしてあげたいって思ってる。そのために他の男性に抱かれることが条件なら、なんとかしてあげたいって思うくらいには好きなんだ。だからお願い翔吾。私だって誰でもいいなんて思ってないんだよ。翔吾だから可能性に賭けてみたいって思ってるのっ」


 俺は頭を抱えた。

 そこまでして惚れ込まれているコイツの彼氏を、ある意味で羨ましいとも、恨めしいとも思ってしまう。


 ここまでコイツを好きにならせる事ができたのに、なんでよりにもよって性癖のチョイスがそれなんだって感じだ。


「恋歌ちゃんはどう思う? 彼氏の俺が、幼馴染みとはいえ他の女と堂々と浮気宣言をしているに等しいけど…許容できるの?」


「うん…まあ彼女としての立場なら、イヤだのひと言だよね」

「それを聞いて安心したよ」


「うん。でもね、逆の立場だったときのことを考えると、翔子ちゃんの思いを無下にはできないなって思っちゃったんだよね」


「逆の立場?」


「もしも翔くんの性癖が、自分には到底受け入れられないものだったとしても、好きな人のためならなんとかしてあげたいって、私だったら思うかもって…さ」


「俺は恋歌ちゃんを他の男になんて絶対に渡したくないぞ?」


「えへへ、ありがとう。でもそれは例えばの話だよ。翔子ちゃんの彼氏がたまたま寝取らせだっただけで、他の条件でもきっと同じ決断をしたんだろうなってところに共感できちゃった。だから、翔くんが受け入れてくれるなら、私は協力してあげたいって思ったの」


 ある意味で、恋人としての立場と、同じ女としての立場で板挟みになっているってことか。


「それにね…それに」


 だが、俺が恋人の友情の厚さに感激しているところで、当の本人からとんでもない告白をされる。


「私も、ちょっとだけその背徳的なシチュエーションに興味あるっていうか…」


「はい?」


「んっとね…翔くんが、他の女の子とイチャイチャしてるとこを想像したら、なんだかすごく切なくて悲しくて、それと同時に、もの凄く…えへへ」


 マジですか…。

 俺の彼女がとんでもない性癖だった件について。


 小説のタイトル変わっちまうぞ。


※後書き※

本日はここまで。明日は2本投稿します。

全12話なので1週間くらいで投稿し終わります。

1日1日をお楽しみに!

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