補足:あとがき
この小説は16世紀末のイタリアの巨匠カラバッジョのモデルの肖像画に関する情報から想起した”歴史小説”です。史実ではなくて、都合の良いお話で史実という点をつなげる試みです。
カラバッジョはモデルである娼婦をそのままに描いて、画題をアトリビュートを使って説明する画家でした。そして、陰影のある画風で同時代では煽情的でスキャンダラスな画家であったと伝わっています。このスキャンダラス性の中でよく言われるのが聖なる題材に性なる娼婦のモデルを使ったことにあるといわれます。
但し、後に彼は同性愛者であるといわれるように、その絵画の中の女性に性愛の要素はほぼ無く、男性モデルの場合のほうがエロティックであるという不思議な画家でした。この娼婦モデルの中に二人の同郷の娼婦アンヌとフィリデがいます。フィリデはユディトとホロフェウスで、純真・無垢な乙女が殺人をするというアンビバレントな画題で有名ですが、それ以上に実生活のスキャンダラスな記録が豊富なことでも知られています。
彼女は当時の娼婦には珍しく、遺書を残し、財産目録も記録として残っています。その中で一点の絵画を特別に元恋人に遺贈したという記録があります。この絵画はカラバッジョの筆による肖像画とされています。この絵は長らくジュスティアーニコレクション経由でベルリンに流れ、戦争で焼失した娼婦の像あるいはフィリデとされてきました。しかし、このジュスティアーニは死亡時にはパトロンから外れていたことから後からの買取は無理があり、パトロン時に描かせて買い取ったものではないかといわれてきました。一方で、バリビレーニコレクションにある房飾りの少女という絵画については作者不詳(カラバッジョ風作者)によるとされていました。カラバッジョで無い一番の理由は彼が画題へつけたアイコン(寓意)が全くない、ただの肖像画でサインも何もないという点で、これを真筆であると仮定すると、どのようなロジックならつながるかと、妄想してつなげたのがこの小説です。また、カラバッジョを1593年のローマに置いていますが、近年の研究では1596年説が有力なようです。ただ、こちらに立つと話が成り立たないので、旧来の92年説をとって書いています。かように歴史の闇の中にある物事をつなげて、楽しくなれと書いたものです。正確性を楽しむものではないのでご承知おきを。
また、キャラクターの記号性も当時の文化を考証していないもので、多分に現代の価値観やセリフが入ります。こちらもエンタメということでご容赦ください。
房飾りの少女:野獣画家と凶刃の娼婦~路地裏の家族~ @KumaT
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