第5話:船旅

 船が出航した。ここからでは何も見えないが、景色を楽しむ余裕は無い。部屋で大人しくしていなくてはならないのだ。部屋から出るのは食事とトイレの時だけだ。釣具を買ったのに無駄だったな。


「トイレが壺だった?」


 涙目で頷くのはミミだ。半べそかいてベッドに潜り込み、布団を被ってしまった。


「トイレは船尾にありまして、壺に座って排泄をするのです。溜まったら海に流せばいいので比較的清潔かと」

「紙……じゃなくて、葉っぱは?」

「葉と砂ですね。葉で拭き、砂で手を洗います」

「そう……」


 フィラルムの説明は淀みない。彼女に知らないことはあるのだろうか。僕と同時にここに来たとは思えない知識の仕入れ方だ。

 これまで、城や宿にはちゃんとしたトイレがあった。便座こそ木製だが、きちんと処理されていて綺麗なものだ。それがいきなり壺トイレとは、日本とのギャップがすごい。

 しかしお姫様だというのに動じていないな。日本の一般的女児はこの有様なのに。


「いざと言う時の逃亡生活に備えて、人里離れた場所で生活する訓練をしましたから」

「へえ、そんなことを」

「身一つにナイフ一本で街道を外れて森に入り、石や木を加工して罠を作り、野草や野鳥、小動物を捕まえて食べるのです。追っ手を撒くという設定なので火も使えず最初は生食でした。訓練として泥水を濾過したり、獲物が無ければ茹でた虫も食べました。慣れてくると煙を上げない火起こしもできるのですが、無煙窯を作るまでが大変でしたね。何日も森に潜伏し、排泄は茂みで、当然お風呂も無し。樹皮や毛皮で服を作った経験もあります」

「お、おう……」


 すげえ。王族ってそこまでやるのか。災害対策とか避難訓練みたいなものか。本格的だ。


「お蔭様でどこでも生きていける自信がつきました。命を繋ぐ為に役立つならなんだってやりますわ。壺くらいなんともありません」

「そっか」


 軽く言うが、そんな地獄を潜り抜けてきた結果がここだ。僕なんかの手駒として生きることを強いられている。

 いや、これはキャラ設定なのだろうか。そんな事実は無く、そういう設定があるだけなんだろうな。いや、だとしても、彼女にとっては本物の経験だ。


「ちなみにルパルはやっていません」

「なんで?」

「魔法があるからです。火起こしも水確保も狩猟も簡単にできます。徒手空拳に較べれば、ですが」

「ああ、そうなんだ」

「いいえ、お姉様!」

「ちゃんとやりました!」

「一日で終わっただけで!」


 聞いていたルパル達がそう宣う。


「ええ、一日で課題を終わらせてね。わたしは一月近く掛かったのですが」

「う……だって、魔法があれば野外でも困らないんですもの」

「水は出せるし、火も困らないし」

「狩りも簡単だし」

「ええ、あなたはそれでいいのよ」


 それだけ聞くと、ルパルが優秀でフィラルムが劣等生のようだ。実際には、魔法だけ得意なルパルとそれ以外は何でも出来るフィラルムなのだが。


「煙を出さずに調理する、服を作る、綺麗な水を調達する。終わるにはこの三つの課題を熟す必要があるのですが、ルパルは一日で終わらせたと聞きました。あまりにも簡単すぎて、一番苦戦したのが服でしょう。そもそも裁縫ができないので。イノシシを採って皮を剥ぎ、魔法で乾燥させるまでは一瞬。あとは革紐を作って骨の縫い針で服に加工するだけ。服を縫うのに半日かけて、ズタボロのエプロンのようなものを作成し、それで終わりだったと聞きます」

「半日?」

「ほぼ丸一日かかりました!」

「針の加工が大変で」

「デザインもできなくて」

「わたしはほぼ一月かかりました。やはり魔法は優秀ね」

「あう……えへへ」


 ルパルがではなく魔法が、か。言われたルパル達は嬉しそうだ。頭を撫でられニヤニヤしている。


「フィラルムは魔法が使えないのか」

「使えないのではなく使わないのよ」

「馬鹿な迷信のせいでね」

「本当に馬鹿みたい」

「魔法使いは妊娠しにくいという俗説があるのです。ですので、婚姻政策の為に魔法は習えませんでした。長子ですので、いずれ婿取りをして世継ぎを産む必要がありましたから、評判の落ちることは出来なかったのです」

「わたしは関係ないわ!」

「だから思いっきり学んだわ!」

「関係はあります。ありました。今はありませんが」


 そりゃ王族なのだから、ルパルも無関係ではないだろう。


「わたしももう無関係なので、魔法を覚えようかしら」

「それが良いわ!」

「お姉様ならすぐに覚えられるわ」

「ぺスタお姉様は無理だったけど」

「ぺスタですか。あの子がいれば心強いのですが」

「そうよ」

「ぺスタお姉様を召喚しなさいよ」

「強いんだから」

「あー、三姉妹の真ん中だっけ?」

「そうよ。我が国最強の騎士よ」

「確かに騎士ですが、別に最強ではありません」


 前に聞いたな。ルパルを喚ぶ前だったか。呼びたいのは山々だが、選べるものでもない。というかガチャにいるのか? いるんだろうな。

 二人が姉妹の思い出話を始めてしまったので、僕はごろんと寝転ぶ。暇な時間に色々と検証したいが、あまりやることが無い。

 今は人数を増やす訳にもいかないからガチャは回せない。デイリーは引いてるけど金貨は出ていない。本でも読むか? ランタンの光じゃ薄暗くて目が悪くなりそうだ。

 一番の敵は退屈だな。やることが無いのは辛いものだ。




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「ふぅ〜……」


 風呂である。ここはウェートから10日の距離にある寄港地の、倉庫区画と鍛冶屋区画の間にある風呂屋だ。水や食料品の仕入れで、明日の朝まで自由行動となったので、僕は迷わず風呂に直行した。普段近くにいたがるミミにすら距離を取られたのだ。おそらく今の僕は自分史上一番臭い。

 長期の航海では、風呂に入るどころか身体を拭くことすら贅沢で、船員たちも不潔を強いられる。故に、港町には必ず風呂屋があるのだという。


 金があるなら風呂付きの娼館や宿に行くらしいし、船員たちの中にはそうする奴もいる。なら僕らも宿に行けばいいのだけど、そうなるとルパルの存在が効いてくる。混浴することにフィラルムもフェイもOKするだろうが、ルパルは無理だろう。僕だけ仲間はずれは嫌だ。だから公衆浴場を選んだ。

 鍛冶屋の排熱を利用していて、料金は安め。飯一回分の金で入浴できる。風呂付きの宿屋だとその四十倍くらいらしい。


 たっぷりと長風呂をして果実水を飲み壁の張り紙を見ると、色々とサービスがあるらしい。垢すり、按摩、送風など。試しに送風を頼むと、どでかい葉っぱを持ったパンイチの少年がやってきて砂時計を置き、跪いて仰ぎ始めた。お値段は食事一回分の10分の1程度。

 ああ、涼しい。火照った身体が冷えていく。

 この少年はミミと同い年くらいだろうか。ただでさえ安いのに取り分はどれくらいなんだろう。ショバ代も取られるだろう。少ないとしても、元手ほぼ0の商売と考えれば、スキルも力も無い子供が稼ぐのには悪くないのかもっしれない。

 この世界の児童労働に思いを馳せていると、知らんおっさんが隣に座った。金を払わずに風を享受しようとはふてえ野郎だが文句も言えない。ベンチは四人くらい座れるサイズだ。一人で専有するものじゃない。少年に目配せをする。こっち中心に扇いで。

 おっさんは……何者だろうか。この辺りに多い人よりも肌の色が濃い目だし、どの日焼けにも当てはまらない。体格は引き締まっているが、適度な脂肪もある。中肉中背、どこにでもいそうな感じだ。まあ、あれは最後のオチの為に作られたっぽいからな。どこまで正しいのかも保証なんかない。


「ふう……あなたはどちらから?」


 風泥棒が言う。えぇ……今の状況って遊園地の金で動く動物に相乗りされているようなものだけど、この状況で世間話を……? いや普通なのか? 僕がおかしいのか? 普通は共有するものであり、サービスを受けられる人が増えるのはいいこととか?

 シカトするのもどうかと思い返事をする。明かしちゃいけないのは勇者であることと能力についてと懐具合。あと何かあったっけ。無いか。


「ウェートの方からです」

「ウェートですか。いいところだ。名物のカタラ魚の素揚げ。あれはいいものです。どれだけだって食べられる。そして冷えたワインをキュッと。たまらないですよねえ」

「そうですか。僕は酒はやらないので。そちらはどこから?」

「カイマヌラからです。ご存知です?」

「いえ、申し訳ない」

「ハズール国の港町ですよ。ここからだと半年ほどでしょうか」

「それは遠いなぁ」


 当たり障りの無い会話。自分の対人能力の低さが嫌になるね。

 情報収集はしたいが、印象には残りたくない。ただでさえ目立つのだ、この黒髪黒目のアジア顔は。黒髪だけなら割といるが、肌も褐色や黒い人が多い。白人っぽいのや中東っぽいのや黒人っぽいのはいるのだが、アジア人っぽいのは見ないのだ。いや中東もアジアだけど。


「ウェートと言えば、すぐ北にはタウグステム王国がありましたね。享楽神を奉じるようになったという」

「え? あぁ」


 まさにそこから来ました。そんな名前だったな。どうも覚えられないが。

 待て、奉じているではなく、ようになった?


「変わった国だなと思ったものです。加護すらも賽の目で決めているという噂の神ですからね」

「賽の目、ですか」

「ええ、普通の国は農耕神だとか交易神だとか、あるいは闘争神なんかでしょう。そんなギャンブルのような神を選ぶとは、どんな国なのだろうかと」

「そうですね」


 知らんけど。

 僕はこの世界の普通を知らない。授業は駆け足だったし、なんならほぼ聞いていない。


「なんだぁ、知らねえのかよ」


 別の知らんおっさんが乱入してくる。赤ら顔の酔っ払いが、どかりと僕の隣に腰掛けた。お前も風泥棒か。


「あすこはもう終わってんのさ! 西に経済大国ハネルヴェ、東にバルザバ神聖国、南に交易都市ウェート、北は魔族領と来てる! どこも敵に回すのが怖いとこばかり、魔族にゃ負けまくりで領土拡大ができやしねえ!」


 僕を挟んでおっさん同士が会話する。なんだこれ。仕方ない、情報収集と割り切ろう。僕はこの世界の事情に興味が無いが、フィラルムならばうまく使うだろう。僕に集められる情報なんか既に知ってるだろうけど。


 ふむ、ウェートについては知っていた。あそこは攻める意味がほぼ無いというか、むしろ悪手だったはず。商人達が運営する交易都市で、海軍が突出して強く、そもそも資金があるので陸ですら傭兵や最新武器などにより防備が固く、ゴリ押しで攻め落としたとしても財産は船で持ち逃げされ、海上は海軍に封鎖されて、港としても使えない空っぽの街が手に入るだけだ。商人達の恨みを買うばかりで旨味が無いのだ。

 で、東西。なんか強そうな名前の国があるわけか。だから魔族を攻撃したい。その為の僕らだ。


「大昔は良かったんだ。あすこは有数の穀倉地だからな。食い物のある国はそれだけで強かった。人を養って育てるだけで魔族ともバチバチにやりあえた。

 だが今となっちゃあ、それだけで渡っていける世の中じゃねえ。土地も魔族に削られまくる有様で、往時の半分くれぇしか残ってねぇときた」


 ほぉ、そんな感じなのか。そりゃ駄目だ。フィラルムが見捨てるのも頷ける。


「そうでしょうねぇ。魔族とは歴史的に険悪。海路はウェートに蓋をされ、陸路はバルザバを通らねばならず、経済もハネルヴェに握られている。農業で得たものを全て戦争に費やしてばかりの国の限界ですか……」

「時代に取り残された哀れな国よォ。戦争で負け、技術で負け、経済で負け、あるのは小麦ばかりなりってな」

「魔族と戦争しているのも、元を辿ればバルザバの意向だというのに……」

「まだ完全に攻め落とされてないのも、魔族がバルザバと国境を接したくないからって話だぜ」


 そうなのか。バルザバ……えっと、なんか宗教っぽい名前の国の意向なんだ?

 んー、あまりにも舐められてる。当たり前か。都合の良い情報ばかり教えられたフィラルムにも舐められていた。見るべき所の無い国だと。


「それで、享楽神はどのように関わってくるので?」

「そこだ! そこが話の肝なのよ!」


 おっさんBが膝を叩いた。パァンといい音がした。


「追い詰められた連中は突然、それまでの信仰を捨てて享楽神に乗り換えたのさ!」

「戦争で農耕神だったのを闘争神に乗り換えるなんてのは聞く話ですが、享楽神は聞かない。前例がないと言ってもいい。ヤケクソか、それとも予言でもあったか……」

「享楽神の信者は遊び人や山師やギャンブラーが主だからな」


 ろくでもねぇ信者しかいねぇ。


「芸術家や役者、それと酒場や娼婦もですよ」

「おお、そうだな。我らが太陽に幸あらんことを。で、これは噂だがよ、享楽神は遊び好きだろ。で、遊びってからにはルールが必要だ。享楽神は、絶対にどっちかが勝つような状況がお嫌いなのさ。

だから、どんな弱者にも絶対に勝ちの目を残してくれると言われてる。万が一だか億が一だか知らないがな」

「なるほど……」


 それに頼る時点で弱者と認めることになるな。方針転換したのはあのお姫様だろう。王様の覇気と存在感と無さは異常なくらいだった。戦争の指導者ってもっとこう、ギラギラしているイメージだ。あの国で一番ギラギラなのはお姫様だった。あの人が享楽神へと乗り換えたのなら納得できる。

 で、享楽神様とやらは僕達を喚んだってことか。魔族をどうにかする一か八かの手段として。


「しかし、祭神を乗り換えるのは……」

「ああ、簡単じゃない。元の神様へ謝罪の供物も必要だし、もちろん享楽神へも増量だ。新たな神殿も建設するし、その上で宣誓もする。この詰んだ状況をひっくり返すとなると、こりゃドでけえ宣誓だぜ」


 宣誓……ゲッシュみたいなことだろうか。神に誓いを立てると加護を得る代わりに、誓いを破るとえらいことになるってやつ。ケルト神話でよくあるやつだ。破らせるためのあの手この手が醍醐味だ。

 享楽神がワンチャンスをくれると言うなら、どんな弱小国でも覇権国家に勝ち目があることになるので、適当な小国がワンチャン狙って享楽神の加護を得るなんてこともあるのではと思ったが、そりゃ制限くらいあるか。


「あの、お時間です」

「ん、あぁ」

「ありがとうございました」


 扇ぎ屋の少年が言うので金を渡す。おっさんたちはまだ話をしているが、僕はその場から離れることにした。酔っ払いがでかい声で話すものだから、割と周りの目を引いてしまっている。

 汗も引いたしちょうどいい。最後に水で流して風呂屋を出た。

 待ち合わせの場所には既に女性陣が待っていた。軽く謝罪して買い物をした。お詫びの品も忘れずに。

 なお、僕の仕入れた情報は、フィラルムは既に知っていたようだ。僕の奇妙なお風呂体験は、これが最初の異世界単独行動だった。







 寄港地を出てしばし、相変わらずトイレ以外は部屋から出ることもなく大人しくしていると、トイレ帰りに船長から話し掛けられた。曰く、合格だという。何が合格なのかわからなかったが、最初の寄港地までの間、ワガママも言わず大人しくしていたことで、船内をある程度動いてもいい権利を得たそうだ。


 こうして密航する連中は質の悪い犯罪者か、何かやらかして逃亡する貴族や金持ちなんかが大半だから、基本的にはワガママクソ野郎だ。そんな連中が好き勝手に歩き回るのはトラブルの種でしかない。なので、最初の寄港地までは出歩くことを厳禁とし、守れたならばトラブルを起こさないと判断され、行動制限が緩むそうだ。まあ、甲板か談話室にしか行けないけど、無いよりマシだ。


 その日から僕は釣り人となった。持ち込んだ釣具を活かす時が来たのだ。甲板の片隅で糸を垂らし、魚との駆け引きを楽しんでいた。


 昔から生き物を採るのが趣味だった。ザリガニ、カエル、魚。その手段には釣りが含まれる。餌代にも事欠いていた昔は釣った魚を生き物たちの餌にしていたものだ。外来種駆除にもなって一石二鳥だから、釣りはよくやっていた。


 市販品の釣具だが、意外と高性能だ。原始的だがリールも売っていた。2本を用意し、片方の仕掛けは坊主逃れのように作り、とにかく針をたくさんつけた。餌は船にくっついていたフジツボやカメノテで、こっちで小魚を釣る。もう一本は釣った小魚の泳がせだ。大物狙い専用である。 さて、これが存外うまくいき、大きな魚がざくざく釣れる。もちろん見たことのない魚ばかりだが、厨房に持っていくと調理師が料理してくれる。半分は持っていかれるが、僕らだけなら半分でも多いくらいだ。船員たちも日々の食事にちょっとした新鮮な肉片が追加されるだけでありがたいらしく、釣りをしていると挨拶されるようになった。

 出歩く時は、常にフェイかルパルの一人が護衛に付いている。僕が死んだら全て終わりだしね。





 3度の寄港を終えた頃のことだ。出発から約一月半。やることも無く暇を持て余し、僕は釣りに熱中していた。

 釣った魚をコックに捧げ続けると、見返りに色々と教わって、魚の判別ができるようになった。美味い魚は泳がせではなく頭と内臓だけ剥がして餌にするようにした。コックの持っていた包丁を一本交渉して買い取り、捌き方を教わった。

 3枚に卸して腹骨を漉き、皮を引いてぶつ切りにして、魚醤と油に漬けて、柑橘を絞って食べる。刺身じゃなくてカルパッチョだな。船内で火が使えるのは調理場だけだから、僕にはこれしか作れない。


 ミミも魚は好きなようで、魚を捌いていると寄ってくる。いっぱい食え。頭が良くなる。アーちゃんも食べるか。お前のは調味料抜きな。というかお前は切り身じゃなくていいだろ。小魚丸ごと食え。


「お前、よくそんなもん食えるな……」

「うちの地元じゃ普通だよ」

「マジかよ……」


 生魚を食らう僕らを見た船員は嫌そうな顔をするが、そんなものは気にしない。川魚じゃないんだから死にはしないだろう。一応、目視で寄生虫は確認しているし、当たったところで自己責任だ。美味いしビタミンも摂れる。子供や子狼の育成には保存食は良くない気がする。野菜は仕方ないにしろ、新鮮な食材が一番だ。


「そんなもん食わなくても、まだ港出てすぐだろ」

「仕方なく食べてるんじゃなくて好きで食べてるんだってば。食べます?」

「断固拒否する」


 そこまで嫌かね。刺身が食えれば船旅の食は一気に豊かになるのにね。壊血病も解決秒読みだ、多分。

 とはいえ、壊血病を心配するほどには、食事事情は割と悪くないんだよな。寄港してすぐは新鮮な食材も出てくる。4、5日もする頃には保存食だらけになるけどね。カッチカチのパンを塩漬け肉と玉ねぎのスープに浸して食べる感じだ。冷蔵庫が無いから仕方ない。


 家畜や鉢植えの果物は無人島に放す為に積んでいるらしく、切羽つまらないと食べないそうだし。

 今は大陸に沿って移動しているから港町に寄れるが、別の大陸に行くには離れる必要がある。そうなると、食事は更に寂しいものになる。壊血病を心配するのはこのへんからだ。


 別の大陸へは船長のオリジナル航路を使うそうだ。この情報は彼らの飯の種であり、厳重に秘匿されている。

 航路上にはいくつかの無人島があり、そこで水などの補給をするのだが、家畜や果物の苗を放っておくと、うまく定着すれば勝手に繁殖してくれるのだ。そうやって航路上に補給できる無人島を増やしていくのが安定した航海のコツらしく、たくさんの無人島がそのような補給拠点に改造されている。バチバチの生態系破壊だが、そんな認識も無いだろうし命のほうが大事だ。


 あ、豚は違う。野生化すると危険だし、勝手に島から移動するからだ。放つ動物はヤギとニワトリ、場合により亀やヤシガニだ。豚はその、糞尿の処理が役目らしい。食べる気が失せる。そんなもの海に流せばいいのにと思うが、資源を無駄なく使って非常食を維持する知恵なのだろう。豚は悪食で、腐った生ゴミでも平気で食べる。

 船員と仲良くなると、そんな話がたくさん聞ける。楽しい。フィラルムが船長や航海士などに接触しているそうなので、僕は僕でこうして情報収集をするのだ。


 さて、今話しているのは三十路過ぎくらいの男だ。このおしゃべりな船員は仕事もせずにプラプラしてることが多いのだけど、どうやら医者らしい。患者がいなければ暇なのだ。

 医者は教養人で裕福な家の出が多いし、船員のような肉体仕事はやらない高級取りのはずだ。やはり儲かるのだろう、貿易というものは。

 医者は色々と教えてくれて楽しいのだが、雑談しながらこっちの事情を探ろうとしている気配がある。要警戒。


「それだけじゃないぜ。豚の使いみちは」

「え、まだあるの?」

「ああ。今はちょくちょく港に寄ってるが、大陸間航行になると最低でも3ヶ月はかかる。天候次第じゃ長いと半年だ」

「うん」

「3ヶ月となると大変だ。飯は保存食、水も腐りはじめ、風呂にも入れねえ。それにお前は無縁だろうが、わかるだろ、男なら」

「え、まさか……」

「まあそうさ。ご婦人連れて航海なんざ普通はしねえ。それ専用の奴隷を乗せるとこもあるが、ウチは金が無いからな。

そのうち豚が太陽に見えるって寸法だ。俺はやらんよ、病気になりそうだし」

「手でしたほうがマシなんじゃ……」

「まあな。他には男同士ってのもあるが、どっちにせよ不潔だ。不潔は健康の敵だってのによ」


 聞きたくなかった。糞尿を食わされ、太陽にされ、最後は食われる。動物虐待ってレベルじゃない。


「まあ、お前は女には困らないだろうがな。どいつがお前の女だ? 俺はあの、頭の良さそうな姉ちゃんが好みだな」

「客をエロい目で見るんじゃないよ」

「見ねえさ。だからそっちも見せるなよ。まだ本格的な大陸間航行じゃないからいいが、女に飢えたら危険だからな。船員の中にはそういうのもいる」

「……」


 ルパルが部屋から出ないのもそれが理由だろう。見せるなと言われても、フェイは護衛だから連れ歩く必要がある。となると僕も引きこもるべきだろうか。嫌だ。僕は釣りをしたい。


「禁欲が続くと、そのチビですら太陽に見えてくるからな」

「う? 太陽?」

「ああ、はいはい」


 ミミが顔を上げて船医を見るので、僕はミミを抱き上げて膝に載せた。ミミにはまだ早い。

 ちなみに太陽というのは女性の隠語的表現だ。性的魅力があるという文脈で使う。だから、君は僕の太陽だなんて言葉はとんだセクハラになるから気を付けよう。生涯言うことはなさそうな台詞だけど。


「まあ、船長に厳命されてるけどな、客とは関わるなって。それでも注意はしておけよ」

「うん。でも、フェイは強いよ」

「腕っぷしだけが強さじゃねえのさ、船の上ではな。なにせコックが一番偉い」


 美味いもん食いたいだろと笑う。  


「旅のさなかで飯くらいしか楽しみが無いんだ。それを管理して作り出す奴は偉いに決まっている。同じ保存食でも調理をするかしないかで雲泥の差だ。尻くらい差し出したっていいね」

「尻?」

「あ、ミミ、魚が跳ねたよ」

「どこ?」

「あっちあっち」


 ミミの頭を両手で包んで耳を塞ぎ、適当な方向を向かせる。

 まあ要するに、料理男子はモテるって話か。男子に限らんけど。


「まあ、まだ先の話だ。ここからまだまだ南下して、西進が始まってからだな。そこからが旅の本番さ」

「その直前に買えばいいのに、豚とか」

「港町で生きたのを買える機会なんてそうそう無いからな。買えるときに買うのが鉄則さ」


 なるほど、そもそも売ってないのか。家畜を育てるには広い土地が必要で、生きたまま家畜を売るには、当たり前だが港町まで連れて来なければならない。そんな手間をかけるよりは、燻製したベーコンのほうが輸送が簡単だ。生かしたまま輸送するには餌や水が必要だし、積める量だって格段に違う。


「もうそろそろ大陸の南端だ。あと寄港地3つ、期間は一ヶ月くらいだな。そこから俺らは大陸間航行に入る。気をつけろよ。ご婦人連れてんだからよ」

「言われなくとも」


 僕はこの世界の人をそこまで信用していない。特に、船員の民度には期待できない。ウェートでチンピラに絡まれた時も言われたが、ここの船員の多くも似たような提案をしてきた。要するに女を貸せってことね。

 言うだけなら、フェイやフィラルムはいいよ。ルパルもまだわかる。ミミ狙いはテメエ殺すぞ。


 こいつらの多くは教養も無く、ろくな育ちをしていなく、氏素性どころか経歴も怪しい連中だ。

 つまりまあ、荒くれ者というか、ギリギリ犯罪者じゃないくらいの人員だ。いや、多分犯罪者も混じっている。大陸間貿易というのは危険が大きく命の保証は無い。そんな仕事をしている連中は、基本的にそんなやつばかりだ。船長と船医と航海士、あとはお付きの下士官くらいか、まともに教育を受けているのは。

 というかだ、同室にミミやルパル達がいるから、僕だっておおっぴらにできていないのだ。我慢しろと言いたい。


「船影見ゆ! 2時方向! 船影2時方向!」 

「うん?」


 カンカンと鐘を打ち鳴らし、見張りが激しく騒ぎ出す。2時方向というのは、真正面を時計の針の正午とした時に、2時の位置という意味である。時計あったんだ、この世界。翻訳の都合?

 はて、船影? それの何に焦ることがあるのか。ここは船の行き交う大陸沿い航路だ。すれ違うこともあるだろう。


「坊主、嬢ちゃん、中に入ってな」

「え?」

「海賊だ」


 船医の声に緊張が混じる。海賊船? そもそも船が見えない。どれだけ遠くにいるのだろう。そして、それだけ遠いのに逃げられないものなのか。


「逃げられないの?」

「無理だな。今は逃げようにも風が弱い。やつらが使うのは戦船だ。貨物船とは速さが違う」


 貿易用の船は図体も大きい。たくさんの荷物を乗せる為だ。いくさぶねというのは戦闘用の小型船だという。

 船というのはなんとなく大きい方が強いイメージがある。帆が大きいから速度が乗った時の速さが違うし、積める大砲の大きさと数が違うからだ。しかし相手は小型船。小回りが利く相手に大砲を当てるのは至難の業だ。機動性を利用して敵の船に突撃し、乗り移っての白兵戦になるわけだ。


「戦いになるんですか?」

「いや、こっちは戦闘要員が少ないからな。いざとなりゃ皆戦うが、積荷のいくらかを渡して終わりだと思うぞ。戦いになれば被害が出る。それはお互いに嫌だしな」


 なんだそうか。そりゃそうだ。

 こちとら海の荒くれ者だ。全財産なんか要求した日には全力で抵抗するだろう。それよりは、そこそこの額を要求した方が効率がいい。


「だがお前らは別だ。目をつけられないように引っ込んどけ」

「うん。ミミ、フェイ、行くよ」

「はっ!」

「ん」


 釣り糸を巻き上げて撤収する。釣れた魚はアーちゃんにあげとくか。ほれ食え、やれ食え。骨も内臓も。

 海賊船ねぇ。海賊のゲームもやったことがあるが、あれは交易と大砲の撃ち合いがメインで、乗り移っての戦闘は無かった。ゲームの都合とも言う。


 実際は海賊が大砲を撃ってくることはあまり無いだろう。沈めてしまえば物資も奪えないし応戦されれば互いに危ない。それは割に合わない。ゲームなら人員補充も簡単だが、海賊になりたいヤツなんてそうそういないだろうし。


「護衛の姉ちゃんは戦えんのかい? そんなら……」

「断る。我が身が護るは主と仲間が優先……であります」

「そうかい。んじゃ、大人しくしててくれ」


 言われずとも。というか、戦闘しないんだろ。なら目立つだけじゃないか、女の戦士なんかいたら。

 そんなわけで逃げるとする。


 部屋に戻って扉を閉める。中にいたルパルも、何か不穏な空気を感じ取っていたようで、どこか警戒した雰囲気だ。

 そこにフィラルムも戻ってくる。フィラルムは航海士などの知識階級と会話をして情報収集をしているらしかった。


「ご主人様、何かありましたか? 外が騒がしいようですが」

「海賊だってさ。物資の一部を渡して終わりだそうだよ」

「海賊ですか……」


 フィラルムは何か考え込む。

 僕は釣具を棚に置くと、一応の準備を始めた。防具だ。鎧を身に着けておく。


「みんな、一応武装しておくようにね」

「なんでよ」

「どうしてよ」

「なんでもだ」


 ルパル達のうち2人が言うが、有無は言わさない。こいつらの武装といえばあの装備品なわけで、あまり着たくないのだろう。


「わたしたちの着替えが見たいだけだわ」

「変態よ、絶対」

「後宮気取りね。あーやだやだ」

「わたしは着替えないけどね」

「チッ……」

「はいはい、いいから」


 自分で着てみてわかったが、装備品の多くは普段着に向かない。硬いし重いしかさばるし、とても寛げるような状態ではない。なので、腕輪一つで装備が変わるルパルが誇らしげに無い胸を反らし、ボンデージは舌打ちして着替えを始める。光の衣は重ね着することもできるが、ボンデージは食い込むだろう。


「ミミ殿、ハミ出てないでありますか?」

「ん、ここ出てる」

「おっと、乳輪が……」


 フェイによると、マイクロビキニ鎧はズレないように着用するのが難しいらしい。一人で着ると毎回ハミ出る。一度着たらズレないのはさすが装備品といったところ。

 一応目をそらし、閑話休題。


 現状、こちらの戦力は5名。フェイとアーちゃんとルパルが3人だ。フェイは少なくともそこらのチンピラよりは格段に強い。一人で5人を相手に立ち回り、武器を使わず盾で殴って制圧するくらいには圧倒的だ。ルパルは……正直よくわからん。戦ってる姿を見ていない。アーちゃんもミミに抱っこされてる姿しか知らない。

 うぅん……大丈夫かな。いざという時に戦えるのか? やはり前衛が不足している。


 誰も一言も発せずにいた。ミミが不安そうに辺りを見回し、フィラルムが抱きしめて頭をポンポンと叩いた。ママ?

 やがて外が騒がしくなる。ここからでは甲板の様子は見えないが、海賊が乗り込んで来たのだろう。言い争うような声が聞こえた。おいおい、穏便に済ませるんじゃないのかよ。


 そして、銃声……? 悲鳴が聞こえた。言い争いではない。争いの音が響く。

 なんだこれは。ちょっと積荷を渡して終わりではなかったのか? そんな穏便な事態とは思えない。

 フィラルムを見る。フィラルムはフェイを見た。フェイは頷き、扉の前で盾を構える。


「ヤバいんじゃないか? これ」

「ええ、そのようです」

「どうする? いや、どうなると思う?」

「皆殺し、でしょうか」


 フィラルムは小声でそう言った。


「いえ、戦闘要員を排除したら、あとは売られるか、奴隷にされるでしょう」

「奴隷……」

「普通なら物資の一部を渡して終わりなはずなのに、どういった理由か、殲滅を選択したようです。余所者が流入したのか、方針が変わったか……」

「今は理由はいい。どう動くべきだ?」

「それは……少し考えます」

「あ、ああ」


 考えますと言っても、できることなど多くない。抵抗するかしないかだ。

 抵抗するなら戦いになる。フェイと、未知数のルパルだけで戦えるのか? あえなく死ぬ可能性もある。よしんば勝ったとして、船を動かす人員は無事なのだろうか。

 そして抵抗しないとしたら、死ぬか奴隷か売られるか。こんなの実質一択だ。 


「フェイ、扉の前で盾を。ルパル、後衛だ。いつでも魔法を使えるように」

「え、ええ」

「了解であります」

「ご主人様?」


 考えるまでもない。戦いの準備だ。


「……ミミ、下がりましょう」

「ん」

「ご主人様、こちらをどうぞ」


 フィラルムが僕に何かを握らせる。それは金属と木で出来ていて、ずっしりと重い。銃だ。寸詰まりだが拳銃よりは大きい。


「どうしたんだ、これ」

「情報収集の結果、船上ではこういった武器を使うと聞きました」


 そうか、暁の騎士物語……フィラルムのいた世界には、銃器が存在しないのだ。いや、ゲームが進むと後に出てくることはあるのかもしれないが、チュートリアルの範囲には存在しなかった。武将が率いるのも歩兵、重装歩兵、弓兵、弩兵、魔法兵、僧兵、軽騎兵、重騎兵だ。遠距離武器は弓がせいぜい。魔法があるから不要とも言える。

 やけに口径が大きいな。弾がデカいのか。こんなの撃ったら弾け飛ぶぞ。


「この大きさですと近距離用にはなりますが、狭い船内で使うのであれば最適です。銃の存在を知っていたら港で仕入れたのですが」

「いや……誰から手に入れたんだよ」

「船長からカードで巻き上げました」


 いつの間に。

 情報収集をしていると思いこんでいたが、フィラルムはフィラルムで行動していたらしい。カードか。こっちのトランプみたいなやつだ。いや何ギャンブルやってんだ。まあ船長らは船員と違って教養も常識もあるから少しは安全なのだろうが。大丈夫か? エロい事されてないか? 本人の意思ならいいけどさぁ。


「あとは引き金を引くだけです。覚悟はいいですか」

「あ、あぁ」

「フェイもルパルも倒れ、最後の最後、如何ともし難い状況に使いましょう」

「は?」

「自決用です。わたくしは懐剣がありますので」


 あ、あー、そういうやつ。虜囚の辱めを受けるくらいならとかそんなやつ。お姫様だもんな、そういう教育を受けてきたのだ。

 駄目だそんなの。


「いいか、フィラルム」

「はい」

「自決は許さん。何をしてでも生き延びろ」

「は? しかし……」

「問答無用だ。いいな、生きろ」


 生きていれば浮かぶ瀬もある。死んだら無い。簡単な話だ。死ぬより辛いことなんてあんまり無い。拷問される理由も無いし。

 例えば使い捨ての兵士なら、死を命じることもあるだろう。しかしフィラルムはユニークキャラだ。失えば取り返しは……つかないよな、多分。


 そもそも大半のソシャゲではクエストに失敗したところでキャラロストなんてことにはならない。コンティニューをしたり、一時離脱して再挑戦したりが普通だ。だから死んでも問題無いのかもしれない。しかしフィラルムはプレイアブルじゃない。どういう扱いになるのだろう。検証する訳にもいかないが。


「……わかりました。しかし、優先順位はあります。ご主人様を危険に晒すわけにはいきません。人質として利用されるのであれば」

「それでも自決は駄目だ。その場合は僕の命を最優先にするし、場合によっては見捨てることも検討する。でも、助かるチャンスを捨てちゃ駄目だ」


 僕が死んだら終わりだ。なんとなくそんな感覚がある。当たり前の話か。だから僕は僕を最優先にする。でも、その次くらいにはフィラルムが来る。何せフィラルムは僕らの頭脳だ。彼女がいなければ何も決断できていない。死んだら困る。

 騒ぎはしばらく続いた。






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原作ゲーム内におけるキャラクター設定

名前:フェイ

年齢:19歳

身長:168cm

体重:54Kg

B:90

W:59

H:92

武器:剣と盾

好物:食べられるもの全般、馬

趣味:騎士物語、武器の手入れ

キャラクター説明:ヴァルハイム王国近衛騎士見習い。平民で、生家はパン屋。

戦闘カンの良さと身体能力の高さで騎士選抜を通ったが、平民の出身であり教育も遅れていて、更に本人も頭が良いとは言えず、見習い期間が長かったため憧れが先行している。平民である自分を騎士に選んでくれた王家には忠誠を誓っている。底抜けに明るく大雑把。

見習いの仕事として城内の掃除をしていたところ、混沌軍による襲撃を受ける。たまたまフィラルムの近くにいたため一緒に脱出し、はぐれたところに主人公と出会い、彼の作戦で敵兵に襲われていたフィラルムを救って以降、ずっと恩義を感じている。

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ソシャゲマスター祖師谷 クソソシャゲ愛好家が流されるまま理想郷を目指す建国記 @kakushelter

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