こんな初夢をみたい

カニカマもどき

こんな初夢をみたい

 湖の向こうに、富士山が見えている。

 朝日がうっすらと辺りを照らし、周囲の木々や生き物たちの、密かな活気を感じる。

 気温は低いが、寒くはない。もこもこのダウンコートを身にまとっているし、ホットゆずレモンを飲んでいるし、懐には犬が居るからだ。

 と、犬が急にふんふん言い出し、鼻をダウンの右ポケットに近づける。そんなところにご飯は入っていないはずだが、と思いつつファスナーを開けると、茹でたてのササミが出てくる。

 これは果たして食べて良いものだろうかと考える間もなく、犬がササミを食べようと首を伸ばす。私は体をねじり、犬からササミを遠ざける。犬がそれを追う。さらに遠ざける。追う。遠ざける。繰り返す。犬と私は、プロペラのようにくるくると回る。

 そうして私たちは、空へと舞い上がる。

 高く、高く。

 この角度から見る富士山や朝日も、またオツである。

 同じくらいの高さを飛んでいる鷹と目が合いそうになり、そっと目をそらすが、意外と優しい顔つきをしているようにも見えた。

 上から見た雲には、大きな畑が広がっている。畑には、立派なナスがたくさん実っている。ナスはこんなところでも育つのか、さすがだな、と思う。

 そういえば、家にあるナスをどう食べるか、まだ決めていなかったのである。

 そう考えた直後、いつの間にか私は、大型書店の雑誌コーナーに立っている。ナス料理が表紙の本を手に取り、文庫本とともに購入する。

 本をトートバッグに入れ、犬とともに、私は家への道を歩く。

 どこからか、カレーの香りが漂ってきている。

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