第6話契約と呪縛
キャンピングカーで寝られる場所は二か所ある。
天井近くに設えられたロフト状のベッドと、ソファーを引き出して作る簡易ベッドだ。
レイは少しだけ迷ったあと、「上がいい」と短く言い、はしごに手をかけて軽やかに登っていった。
その背中を見送りながら、俺は下の簡易ベッドの準備に取りかかる。
「ほら、掛け布団」
掛け布団を差し出すと、レイはそれを受け取り、さっそく布団を被った。
「そういえば、マスター。私と契約してからの調子はどうですか?体調に変化とか……」
不意にそんなことを聞かれて、ドキッとした。
「え?いや、至って変わらな……ま、まさか契約したら何かしら異変が!?気づかないうちに、体の内側からジワジワ系とかじゃないよな!?」
慌てて自分の体調を思い返すが食欲もあったし、頭痛もしなかったし、特に異常は無かったと思う。
「い、いや、ないならいいんですけど。契約って、一生に一度のことで、聖騎士が契約するとかもほとんど聞いたことが無いので、相手にどんな影響が出るかわからないんですよ」
さらっと物騒なことを言うな。
「そうか……何か、確認する方法とかないのか?」
「それはステータスって言えば、自分の情報が表示されますけど。そんなことも知らないんですか?マスターは、田舎者ですね〜」
完全に煽られたので、反射的に枕を一つ投げる。
「うぎゃ!」
それから半信半疑で、口に出してみた。
「……ステータス」
すると、目の前の空間に、半透明の画面が浮かび上がった。
「うぉ、本当だ!」
――――――――
佐藤
Lv13
HP:80/80
MP :40/40
職業:人間
スキル:鑑定
呪縛:レイとの契約
――――――――
「なあ、レイとの契約が呪縛欄に書いてあるんだけど?」
「見間違いじゃないんですか〜?」
「いや、何度見ても呪縛って書いてあるんだけど!? もしかしてこの契約が呪い扱いなんじゃないのか?」
問い詰めると、レイの返事にわずかな間が空いた。
「……まさか、私との契約は呪縛扱いになるんですね〜知らなかった。聖騎士と契約すると、魔王を倒さなければいけない使命が課せられるんですとかなんとか……読んだことがあったような」
「魔王を一緒に倒すから、呪いか」
「そうなんですね〜」
「それを、俺の許諾なしで俺と契約したのか?」
「テヘ」
「テヘじゃねえよ!」
思わず全力で突っ込んでしまった。
「てか、この世界に魔王が居るのかよ?」
「居ますよ。今も、魔王を倒そうと人類は必死になってますよ」
この世界には、魔王という存在がいるらしい。他にも聞こうとしたが、レイが言葉を遮った。
「あ、私もう眠いかも〜。マスター、おやすみなさ〜い」
「おい、ちょ、まだ聞きたいことが——」
しかし、その声が届く前に、ロフトの上からすぐに寝息が聞こえてきた。
……逃げたな、こいつ。
俺のスキルである鑑定については、明日起きた時にレイに使い方でも習うか。っと、思いながら眠った。
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