第4話 そして、救済の鐘が鳴る。
機械音に満ち溢れた、否、機械音しか聴こえないこの世界に突如、ノスタルジックな時刻を告げるベルが厳かに鳴り、響いた。
ソノ音を合図に各地に点在していた特殊な建物の中で、創造主たちが目を、醒ます。
人体が生きていかれない程に上昇した気温に、人類は【コールド・スリープ】という道を、選んだ。
ソノ文明が空白になる間の【未来】を、アンドロイドたちに託して。
フロンガスもガソリンも石炭すら燃やさなくなった地球は、オゾン層を自然治癒し、自身の温度を人体に耐えうるまでに低下させた。
ベルは、ソノ時刻が来た事を告げたのだ。
創造主たちは急いで自分の【分身】であるアンドロイドたちの元に続々と向かって行った。
彼らはスリープ中もアンドロイドたちの行く末をずっと、見続けていたのだ。
急がなくっちゃ、
【彼ら】を、自分たちの身代わりとなってくれていたアンドロイドたちを救わなくっちゃ、
リンゴーン、リンゴーン、
鐘はまだ、鳴り止まない。
救済の時刻が、始まった。
*****
「二人ともよく眠っているね」
「うん、とても幸せそうだね」
「でも、もっと、幸せになって貰わなくちゃ」
「そうさ、ボクたちの文明を守ってくれたのだから」
「また、幸せな時刻を刻むんだよ?マーク、ナオト、」
ベッドに横たわっている二人にソックリな人物たちは、抱き合って短いキスをすると早速、運んできたあらゆる工具を持ち出して二体を修復し始めた。
*****
「…良く、添い遂げたね」
「何だか、キミたちが羨ましいよ」
一本のネジで繋がっているジョーイとジョシュアを見つけたこちらの二人も、肩を抱き寄せ合って深い、口づけを交わした。
「もう、心配しなくていいからね。ネジならたくさんあるしまた、作れる。キミたちは自由に動き回れるしまた愛し合えるようになるんだよ…もう、ネジで、繋がっていなくても、」
そういって、二人で二体を繋げている手の甲のネジをそっと、外した。
「瞼が降りなくなって不便だっただろう、ジョシュア。ジョーイの塗装もしっかりと修復するからね。起きたらまた、元の幸せな時に戻っているから、安心して?」
こちらも、持参した手足のパーツや諸々の器具を所狭しと並べて、二体のリフォームに取り掛かった。
*****
「…辛かっただろう」
やっとの事で箱を見つけた二人はその中の惨状に一瞬、言葉を失った。
身体の小さな方はボロボロと涙を流している。
「愛玩型に感情を求めた手慣れないプログラマーがテロリストに目を付けられてウイルスを植え付けられてしまったんだ」
「…もう、ウイルスの除去の方法も確立しているよ、」
だから、安心してね?とまだ、泣きながら小さな人間が片割れの体躯の良い方に後ろから抱きつく。
その銀髪を後ろ手に大男が見栄えに反して優しく撫でてやると、撫でられた方がその鼻にチュッとキスを落とした。
「基盤も破損してるけど、大丈夫。しっかり【記録】したコピーがあるからね。辛い想いをした分、存分に幸せになって欲しい」
オスカー、キリト?と、粉々になったパーツ一つ一つに、語りかけた。
そうしてそっと、蓋を閉める。
二人で二体の入った箱を持ち出し、彼らのラボへと運んで行くのだった。
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