第24話 マエルとタゴサク
一面の麦畑。
金茶色の髪と猫耳と尻尾をもつ少年は、黒猫獣人に変身した青年に抱かれてそれを眺める。
「ほら見てマエル。畑は無事だろ? 君がちゃんと護ったんだよ」
「良かった……クルスさんが助けてくれたおかげです……」
自分の目で確かめられて、マエルはホッとした。
そのまま2人で畑を眺めていたら、後ろから歩いてくる人の気配を感じた。
「……りょ、領主様……しばらく見ないと思うてましたが、寝込んでらしたんで?!」
背後から、困惑した様子の男性の声がする。
マエルは、それが誰の声かすぐに分かった。
「タゴサクさんこんにちは。大したことはないですよ」
マエルは微笑んで言う。
麦わら帽子を被り、首には手ぬぐいを巻いて、灰色のツナギに長靴姿、オレンジがかった金目にこげ茶の猫耳と髪と尻尾が特徴のオジサンがタゴサクである。
「いやいやいや、そんなに痩せてしもうて……お労しい……」
タゴサクさん、ウルウルと目を潤ませる。
マエルが彼を大切に思っているように、彼も幼き領主を大切に思っていた。
「この子、ゴハンも食べないで倒れるまで草むしりをしていたんです」
「えぇっ?!」
「ほら、抱いてみて下さい。ガリガリに痩せてこんなに軽い」
そう言うと、クルスは抱いていたマエルをタゴサクに差し出す。
タゴサクは無意識にマエルを受け取り、その両腕に抱いた。
「あぁ……骨と皮しかない……。まるで飢饉のときの子供みたいじゃないですかい」
「た、タゴサクさん……そんなに泣かなくても……」
マエルのあまりの軽さと骨ばった身体を憐れんで、タゴサクの両目から涙が滂沱として流れ落ちる。
「領主様、もっとお身体を大事にして下せぇ。オラでよければ頼ってくだせぇ」
「は、はい」
タゴサクに泣いて懇願され、マエルは頷くしかなかった。
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