第23話 守りたいもの

「虹の橋の番人も気が利かないな。タゴサクさんの子として転生させてやればいいのに」

「いえ、それだとタゴサクさんやこの村を護れません。領主になったからこそ、護ることができるんです」


 前世を含めた全ての話を聞いたクルスこと来栖聖夜は、実の両親に愛されずに生まれ育った少年を憐れんで呟く。

 しかしマエルは、吾作の転生者と彼がいる農村を護ることが大事なのだと言う。

 吾作の転生者がトラを覚えていなくても、トラは吾作を忘れない。

 トラは現世でも、農村の守護者でありたいと願っていた。


「そっか、トラは偉いな」


 前世や現世の幼少期の話にもらい泣きしていたクルスが、敢えて前世の名で呼んでマエルの頭を撫でる。

 マエルは、また嬉しさと切なさが入り混じった笑みを浮かべた。


「クルスさん、お願いがあります。僕を畑まで連れて行ってもらえませんか?」


 お茶を飲み終えたクルスに、マエルはお願いをした。

 自力で行こうとすれば止められるので、クルスを頼る。

 トラの尊さを知ったクルスが、断れる筈は無い。

 クルスはマエルを抱き上げて、畑へと向かった。

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