第11話 異世界転生

「マエル、土魔法しかないお前に爵位は継がせぬ。農業地域を領地として与えてやるから、そこで暮らすがいい」


 異世界のとある国。

 王都に住む貴族の屋敷で、少年マエルは父から追放を言い渡された。

 生まれた直後に受けた鑑定で、魔法適正が土属性だけだと知られたときから、彼は両親から愛されずに育っている。


「分かりました」


 抗議しても無駄だと分かっているので、マエルは素直に頷く。

 父の後ろに立つ母は、赤ん坊を抱いて黙ってこちらを見ているだけだった。

 様々な魔法適正をもつ弟が生まれていなければ、マエルはまだこの家に居られたかもしれない。

 しかしマエルは、それほどこの家に執着は無かった。


「では、今までお世話になりました」


 そう言って屋敷を出る少年を、引き留める者はいない。

 マエルは古い馬車に乗り込み、新たな住処へ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る