第5話 お祝いのお裾分け

「トラや、お前さんがネズミを退治してくれたおかげで、米がたくさんとれたぞ。今日は特別、お祝いのお裾分けじゃ」


 収穫を終えたある日、吾作はトラに新米を炊いたごはんをくれた。

 かつおぶしがたっぷりかけられた、所謂「猫まんま」である。


「うみゃっ」

「そうかそうか、気に入ったか」


 それは、トラにとって目を丸くして驚くほど美味しかった。

 かつおぶしの風味と、ほんのり甘くて柔らかい白飯は、トラの大好物になった。

 トラが夢中で食べる姿を、吾作は満足そうに眺める。

 以来、かつおぶしごはんは収穫祝いの特別メニューになった。

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