第3章 偽りの友情(中編)
翌日、教室に入ると、昨日の放課後の気まずさがまだ心に残っていた。友達の笑顔はいつも通りだが、紗良の心は微妙に緊張している。
「普通に話さなきゃ……」
自分に言い聞かせながら席につく。だが、昨日の男子の言葉や、神谷颯のことを思い出すたび、胸がぎゅっと締め付けられる。
友情の試される瞬間
昼休み、友達の一人が軽い冗談を口にした。
「紗良ちゃんって、ちょっと秘密がありそうだよね」
紗良は心臓が止まるかと思うほどの衝撃を受ける。
「えっ、そ、そんなことないよ!」
慌てて笑顔を作るが、声は少し震えていた。
友達は笑いながら肩をすくめる。
「冗談だって、気にしないで」
表面上は和やかな空気だが、紗良の胸の奥では焦燥感が渦巻き、手のひらがじんわり汗で湿る。
心の葛藤
放課後、一人で帰り道を歩きながら、紗良は深く息を吐いた。
「今日も何とかやり過ごせた……でも、次はどうなるんだろう」
友達との関係を壊したくない。しかし、秘密を抱え続けることで、少しずつ心の距離が生まれていることを感じる。孤独と不安が入り混じり、胸の奥に重くのしかかる。
「私、どうしてこんなに怖がってるんだろう……」
誰にも言えない思いを胸に、紗良は小さく肩を落とした。
偽りの笑顔の重み
家に帰ると、紗良はすぐにモデルとしての顔に切り替える。鏡の前で微笑むと、誰も疑わない完璧な神谷颯の姿が映る。
「……これだけは、私のもの」
鏡の中の自分に小さくつぶやき、少しだけ心を落ち着ける。
だが、学校での友情と秘密の間で揺れる心は、完全には安らがない。二つの世界を生きる少女にとって、平穏はまだ遠い。
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