第8話 母猫からの魔法伝授

※すみません、予約に失敗して第3話が飛んでたので慌てて公開しました。


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ステータスを確認すると、火属性魔法の項目に、【ファイア】【バーナー】が追加されていたが……そこでふと思い出した。


そういえば、異世界ファンタジーで定番の火属性攻撃魔法って、【火球】ファイーボールじゃなかったか?


ちょっとやってみる。


【ファイア】、いや【バーナー】にしよう。俺はバーナーを発動し、それを球状に圧縮して留めるようにイメージする。


……できた。


泉の反対側に、少し大きな岩があった。その岩に向かって火球を飛ばしてみる。


火の玉はふわふわと飛んでいき、岩に当たるとポンと軽い音を出して弾けた。


威力はイマイチだけど、一応、成功、かな? 威力は例によって込める魔力量によるんだろう。


それよりも、スピードのほうが問題だと思った。威力が上がってもスピードが遅かったら動く的には当たらないだろう。母猫も、炎鷲も、移動速度はものすごく速かったからな。あの領域で戦うのには、魔法の威力だけでなく、射出速度が重要だろう。


俺は泉を回って岩のあるほうに移動。岩を的にして火球の実験を開始した。


結論から言うと、射出速度は簡単に速くなった。これも結局は魔力の込め具合だが、同じ魔力量でも使い方によって色々変わるようだ。より速くなるようなイメージで魔力を込めると速くなる。


何度かやってみて、ただ手の先に浮かべてそれを飛ばすのではなく、野球のピッチャーのように投げる動作をすると速くなりやすい事が判明。(イメージしやすいからか?)


しかし、いちいち投げるのは面倒だ。“投げる” 動作だと連発はできないしな。


そこでモーションなしで射出する練習をした。イメージはマシンガンだ。結果、これも習得。「魔法はイメージだ」と地球で読んだラノベに書いてあった気がするが、そのとおりのようだ。


ただ、速度を上げて連発すれば当然その分消費魔力も増えるようだ。そりゃそうか…。


次。


今度は、飛ばした球を誘導できるか実験してみた。


―――できた。高速弾だとちょっとコースを変化させるくらいだったが、スローボールなら自由に操作できるようになった。空中で途中で止める事さえできる。止め、戻し、体の周囲をぐるぐると回すように飛ばしたり。


ただし、自分から離れるほど操作の精度が落ちるようだ。そして変化球も速度UP同様、使うと消費する魔力が増える感じだ。


剛速球を自在にコントロールできるようになるかは、今後の練習次第か?


次。


もう一度水属性。


火球ができたんだから、水球もできるだろうと思いやってみた。できた。


まぁ水球はあまり意味がない気もした。威力が火球ほど出ないからね。水の玉をぶつけるだけなのだから当然か。火事の消火作業にはいいかも?


次行ってみよう。


【水】と【火】を試したのだから、次は【風】だね。


【|風《ウィンド】


―――そよ風が吹いた。


うん、だと思った。


魔力を込めればさらに強い風を吹かせる事も可能。


さらに、範囲を絞れば、空気を局所ピンポイントで吹かせる事もできるようになった。これはこれで色々使い道がありそうだ。何にって? ……部屋の換気とか? 焚き火の火力を煽るのにもいいかも。。。


そうだ、【火球】・【水球】ができたんだから、【風球】もできるんじゃないか…?


試してみた。


できた。


ただ、威力は水球よりさらに弱い感じ。そりゃね。空気の玉をぶつけるだけだからね。ただ、空気は水より圧縮しやすい。思いっきり強めに圧縮した空気球作ったら、解放時には結構爆風にはなる。それでダメージを与える事は難しいだろうが、空気なので見えないので、体勢を崩したりはできそうかも?


『なおん』


ふと気がつくと、母猫が近くに来ていた。兄弟猫達も。


母猫「なおん」


母猫は俺の【風球】を見て、何か言いたいことがあるようだ。


母猫は前に出ると、手を挙げ、鋭く振り下ろした。すると爪から鋭い風の刃が飛ぶ。


風刃は岩に当たると岩の表面に結構深い傷を付けた。


母猫「なーお」


母猫がドヤ顔をしている……気がする。


母猫「なお」


え? やってみろって? よし……


……こうか!


爪を出し、母猫を真似て手を素早く振り抜く。


ちなみに爪は、指の先にもう一つ関節があってその先に爪がついている感じだ。その関節は他の指とは逆方向に曲がるようになっていて、普段爪は(脱力状態では)指の背の側に折りたたまれている。この構造に初めて気付いた時は、猫(あるいはその他の動物も?)の爪ってこういう構造だったのかと関心した。


ただ、何かを握るように力を入れ過ぎると爪が出てきてしまうので注意が必要である。しっかりとホールドしたい時は爪を食い込ませて強く握れるとも言えるが、爪が食い込むと困るモノを握る時は気を使うかも。対象を傷つけずに指を使う時は適度な脱力が必要だ。まぁ指を使うのにそんなに強い力が必要な事はあまりないから大丈夫だろう。


母猫の使った風の刃そのままのイメージで、魔力を爪に乗せ、スイングとともに打ち出す。すると、俺の爪から鋭い風刃が飛び岩に命中した。


俺は、【風刃】ウィンドカッターを習得した。


風刃は岩肌に少し傷をつけた。母猫ほど深い傷はつけられなかったが仕方がないだろう。


「なーお」


母猫も満足気だ。


すると、兄弟猫達が真似して猫パンチを繰り出しはじめた。何度かやると、弱々しいが【風刃】らしきものがで始める。そして、コツを掴むとどんどん強くなっていく。さすが…


これは種族的な特性か? というか、今更だが、この猫たちはそもそも猫なのか…?


できるかな? 


…【鑑定】!


お、できた!


兄弟達のステータスが見えた。


名前:なし

種族:ストームキャット

年齢:0歳

属性:風


なるほど、属性は予想通り【風】。種族はストームキャット。なるほど、風猫かなと思っていたが、嵐猫でしたか。


兄弟猫達は、俺よりも浅い傷しか岩につけられなかったのが悔しいらしく、何度も繰り返し風刃を岩に向けて放っていたが、そのうち魔力切れで倒れてしまった。


母猫が子猫達の首根っこを咥えて一箇所に集める。


あ…。俺も首根っこを咥えられて仲間入りさせられてしまった。


うーん、俺はまだ魔法の検証を続けたかったのだが…泉の水を飲めば魔力も回復するのだし。


だが、母猫は無理をするなとでも言うように一声鳴き、俺と兄弟たちをお腹に抱きかかえて丸くなってしまった。


サラサラで柔らかい母猫の毛皮のベッドに埋もれると、心地良くて眠くなってくる。まぁ焦らなくともいいか…。



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