第16話 リベンジケーキ(明未の視点)
2029/2/14(水)PM3:00
性病検査の結果を聞きに行った翌日から、3rdシングルと1stアルバム、両制作の為に、わたしと蘭お姉ちゃんはボイトレとギター練習と作詞、パパは作編曲にそれぞれ勤しんでいた。そんな中、学校帰りに。
「蘭お姉ちゃん。帰りにイオーンに寄っても良い?」
「良いけど、何か買うんすか?。もしかして買い食いっすか!」
「違うよ。今日はバレンタインでしょ?、チョコレートケーキ作る為の材料を買いに行くんだよ」
「ああ、そう言えばそうだったっすね~!」
「それに今度の土曜日ママが来るでしょ?。パパとママとBerryenの皆に作って食べさせてあげたいんだ」
「でも何でケーキなんすか?、普通のチョコレートでも良い気が。それに何でBerryenのメンバー迄…。」
蘭お姉ちゃんの問いに、わたしの手作りケーキを以前、国太が勝手に口にして吐き捨てられた件を話すと蘭お姉ちゃんが。
「うわ~マジ酷えっす…。そう言えばボクも昔チョコ作って元姉ちゃんに勝手に食べられて『不味い』って文句言われて、元母さんに『香がお腹壊したらどうすんの!』とか言われながらぶたれたっす、勿論元父さんはシカトされたっす…。」
「蘭お姉ちゃんも色々嫌な想いして来たんだね…。」
と言った後、一呼吸置いて。
「そうだ、一緒に作ってパパ達をびっくりさせようよ!」と言うと蘭お姉ちゃんが「良いっすね~!」と乗り気になってくれた。夕食を食べ終えた後。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でしたっす!」
「さあ、皆で食器洗おうか?」
「今日はボク達だけでやるから、パパは仕事に専念して欲しいっす!」
「そうだよ。いつもわたし達の為に一生懸命色々やってくれてるんだし」
と2人でそう言うとパパは驚きながらも部屋に行ってくれたので、わたし達はチョコケーキ作りに取り掛かった。完成後、パパを呼ぶ為に2人でパパの部屋に行った。
「パパ。台所に来て貰っても良い、かな?」
「良い物作ったっす!」
そう言うとパパは明らかに楽しみにか顔をしながら台所に連れて行き、完成したチョコケーキを披露した。
「これ、お前達が作ったのか?」
「そうっすよ」
「不味かったら言ってね、作り直すから…。」
「いやいやいや。お前達が作った物だから不味い訳無いし。それに以前、国太ん家で少しだけだけど明未のケーキ食べた時、味は本当に美味しかったし」
「あの時よりは美味しくなってる、と思う…。」
そう言いながらわたし達がお皿に切り分けたチョコケーキをパパが早速食べた、わたし達が緊張しながら見守るとパパが。
「美味い!。てか以前よりも更に美味しくなってるし」
「本当?、良かった~…。」
「これで、心置き無くママに出せるっすよ!」
こうしてわたし達は楽しく後片付けに勤しんだ。
2029/2/17(土)AM10:00
「やっほーい、来たよ~♪。Berryenの皆も」
「くくく。我らも魔力を込めたチョコレートを持って来たぞ!」
「お前だけだ、魔力込めてるのは。アタシらはちゃんとしたチョコ用意して来たから安心しな」
「蒼絵お姉様の言う通りですわ!」
「ウチと蒼絵姉は前に一口食べとるさかい、あの時より美味くなってるかと想うと楽しみやわ!」
「間違いなく前回より美味くなってるぞ、この間食べた俺が保証する!」
「ケーキだけでなく瑠実っちも食べたもんね~、あの日」
「やかましいわ!」
わたし達はママとBerryenの皆からチョコを受け取ってわたしの部屋に連れて行き、先ずはケーキを披露した。するとママが。
「おおお!、これ2人が作ったの?」
「そうっすよ!」
「今包丁持って来るから!」
とわたし言うと早速ママが口に運んだ。すると蘭お姉ちゃんが。
「まさか『オエッ!』とかやんないっすよね?」
「ママがそんな事する訳無いじゃん!、国太や智枝じゃあるまいし…。」
「お前達が作った物なら、例え土や草でも『美味しい!』とか言って平らげるだろうなあ…。」
とパパが言うとすぐさまママが「うっ!」と言いながら口を押さえて、ゴミ箱に急いで向かい、あろう事かゴミ箱に吐き出した。全く予想外の出来事にわたしは思わず。
「嘘でしょ!、何でママがオエッって?」
「何やってんだよ姉貴!」
「冗談にしても笑えへんぞ!」
「瑠実お姉様の言う通りですわ!」
「まさか闇の呪いがアルビレオに降り掛かったのか!」
「まさか食中毒に当たっちゃった、とかっすか?」
「そんな訳無いだろ?、さっき作ったばかりなのに…。」
とパパが言うとママが数秒間の沈黙後。「うん、当たったよ、てか…。」と言って一呼吸置いて「超大当たりだよ。あーし、パパとの赤ちゃんが出来ちゃったよ!」
ママからの衝撃的な発言に、吐き出されたショックがすっかり頭から消し飛んで。
「おめでとうママ!、これで名実共ににママになったっすね!」
「俺、時期的にもそろそろかと想ってたけど、まさかこのタイミングで…。」
「嫌ー!、あびるお姉様がどんどん穢れて行きますわ~…。」
「ウチもあん時ピル飲んでへんかったら、いずれこうなってたんやろな~…。」
「くくく。これで我がレイガルマ帝国も安泰だな」
「勝手にアタシの甥か姪を、お前の妄想帝国の一員にすんな」
「そういう訳だから、気を取り直してもう一度頂くよ~♪」
「良かった~、吐き出した理由が『不味い』とか『汚い』とかじゃなくて」
とわたしが安堵するとママが「そりゃそうだよ。2人が作った物なら例え、土や草でも残さず食べるよ~♪」と言うとわたしは慌てて「それはやめて!」と言うとママが「あっ、勿論前回よりも美味しくなってるよ!。さあ、今度は皆でお昼ご飯の準備しよう!」と言ってお昼ご飯を皆で食べる事になり、ママがこう切り出す。
「そう言えば皆、免許と就職先は今どんな感じ?」
「アタシは今自動車学校は第2段階に入った所だ」
「ウチはこの間就職の内定取ったで、『ナイリス庄山』や!」
「俺がフォビさんに所属する直前迄居た職場じゃねえか!」
とパパが驚く中、瑠実お姉ちゃんが続ける。
「更にもっと驚かせたるさかい。初姉も就職先決めたねん、『ふじりんごスーパー』や!」
「俺が高校卒業後、最初に勤めたトコじゃねえか!。何で又そこにしたんだよ?」
「女性の正社員さんが多いからですわ。ちなみにもうすぐ卒検ですわ!」
「ういっちらしいね~。で、ざくっちは今どんな感じなの、就職先?」
「ま、まだ決まっとらん。自動車学校も、第2段階の後半に入ったトコだ…。」
「んも~、何やってんのさざくっち~…。」
「あびるお姉様の言う通りですわ!」
「あまりざくろを責めるな、この不景気だから新卒でも中々見つからないのも仕方ないと思うぞ。それに俺も免許取るの、かなり手こずったからな~…。」
「ちなみに技能教習何回落ちたのパパ?」
「1…。」
「1回て、全然手こずってないやん!、ウチ3回落ちたで?」
「瑠実お姉様の言う通りですわ!、わたくしは現時点で5回落ちてますわ!」
「我は現時点で7回だ…。」
「…ダース」
「1ダースって、12回~!?」
「プラス仮免、卒検、免許センターでの最終筆記、それぞれ1回ずつ…。」
「んもー、何やってんのさパパ~!。あーし1回も落ちなかったよ~♪」
「嫌みか!」
とパパが言いつつ、お昼ご飯を皆で楽しく食べながら語り合った。そして夕飯時、蘭お姉ちゃんが。
「そう言えばボク、再来週誕生日っす」
「そっか、閏年じゃない年は28日が誕生日になるんだ。じゃあその日にもお祝いしなきゃだね~♪」
「待て姉貴、3月1日卒業式だぞ!」
「蒼絵お姉様の言う通りですわ!」
「夕方に帰れば良くね?」
「せやたら、2月27日に朝一にここに来れば一緒にご馳走作れるわな~」
「くくく。今宵貴様の生誕祭を派手に執り行なおうではないか!」
「皆有り難う、ボクの為に…。」
と感極まってる蘭お姉ちゃんにわたしが。
「そう言えば蘭お姉ちゃんって今迄、誕生日プレゼント何貰って来たの?。わたしは『お姉ちゃんなんだから我慢しろ!』って言われて、今迄1度も貰った事無いけど…。ちなみに智枝は去年、エレキギターを買って貰ってた。『2万円以上した』って自慢されたよ、その前は電子キーボード…。」
「マジっすか!?、元姉さんは去年、洋服で一昨年は新しいスマホっす。ボクは去年、中学校の制服で、一昨年は和英辞典。その前はーー」
「もう良い!。お前らがどれだけ辛い目に遭わされて来たか、よーく解った」
とパパが重苦しい雰囲気を止めるようにそう言い、更に続ける。
「今年からはちゃんとしたプレゼント用意してやるから元気出せ!」
「わーい有り難うっす、パパ!」
「パパならきっと、ちゃんとした物を用意してくれる筈だよー!」
「あーしも最っ高の誕プレ用意するから~♪」
「ウチらはまだ働いてへんからあまり高い誕プレ用意出けへんけどな…。」
「瑠実お姉様の言う通りですわ~…。」
「その分、我が魔力を込めたプレゼントを贈ろうではないか!」
「何をプレゼントする気だザック?」
こんな感じで翌日迄楽しく過ごした。翌日、わたし達は新曲のレコーディングに勤しんだ。
2029/2/27(火)AM9:00
朝早く、地元からママとBerryenの皆が来てくれた。
「よお!、来たぜ。クラン、メミー、ラッズ」
「蘭姉の為に飛び切り美味いたこ焼き作ったるでー!」
「瑠実お姉様の言う通りですわ!」
「あーしらは一緒にクランベリーケーキ一緒に作ろう、蘭姉ちゃんのイメージカラーならぬ、イメージベリーだから」
「くくく。今宵は盛大にオニキスの生誕祭を執り行おうではないか!」
「皆、わざわざボクの為に有り難う!、ホントに嬉しいっす…。」
こうして前回と同じ流れでご馳走を用意し、今回は蘭お姉ちゃんの部屋でお祝いする事になった。ちゃんとした誕生日プレゼントを皆から貰えて、蘭お姉ちゃんが感極まって嬉し泣きしてる中、初お姉ちゃんが。
「わたくし数日前、漸く免許を取りましたわ~!」と誇らしげに免許を見せるとママが「おお!、おめでとうういっち~!」と聞くとざくろお姉ちゃんが。
「我はもうすぐ卒検だが就職先は決めたぞ。くくく、聞いて驚くがよい。『長寿園』だ!」
「おめでとうザック!。長寿園って確か、地元の老人ホームだよな?」
「てか、ざくろが介護職員?。そっちの方が驚きたぞ!、俺的に」
「ボクもっす!。ざくろお姉さんって相手に尽くすイメージ全く無いっす、ボクの中では…。」
「介護職員って確か、相当キツイ職種だって聞いたよ、ざくろお姉ちゃん?」
「ざくろ姉にホンマに務まるんかいな?、心配やわ~…。」
「瑠実お姉様の言う通りですわ…。」
「案ずるな、どうせ1年位で辞める職場だ!」
「駄目だよざくっち!、その職場に骨を埋める位の気持ちでやんないと。ざくっちだって、そういう気持ちでレイガルマ帝国に使える眷属が居たら嫌でしょ?」
「ぐぬぬ、解った。全力を尽くすとしよう…。」
こうして蘭お姉ちゃんの13歳の誕生日を皆で盛大に祝い、その日の夕方にママとBerryenの皆は地元に帰って行った。翌日卒業式を終えてさらにその翌日、ママがこっちに引っ越して来て、住民票をこっちに書き換えて、晴れて東京都民になった。そんな中、ママがこう切り出す。
「そう言えば蒼っち自動車学校、今度卒検なんだって。んでその蒼っちの18歳の誕生パーティー兼、就職祝いを、めいみん、あーしの生誕祭と一緒に纏めて4月1日にやりたいんだけど良いかな?。蒼っち達全員4月2日に入社式だし、あーし達もこれから忙しくなるから、ごめんねめいみん…。」と悲し気に言うママにわたしは。
「わたしは全然構わないよ、皆にも事情がある訳だし…。」
「ボクもっす!」
「流石に、入社式を休む訳には行かないからな~…。」
「その代わり、それとは別にあーしら4人でめいみんの生誕祭やろーよ♪。その日にあーしの分も纏めて!」
こうしてわたし達は4月1日に蒼絵お姉ちゃんの18歳の生誕祭、わたしの13歳の生誕祭、ママの19歳の生誕祭、Berryenの皆の就職祝い、これらを纏めて一斉に行なった。ちなみに、蒼絵お姉ちゃんに因んでブルーベリーを、わたしに因んで苺を、ママに因んでビルベリーを、それぞれふんだんに使った特大ケーキ、名付けて『ベリー園ケーキ』を皆でお腹一杯食べたから、ケーキは暫くイイかな…。
2029/3/4(日)PM7:00
遡る事約1ヶ月前、1stアルバムのレコーディングが漸く終わった。
「やっと終わったっす~!」
「ていうかパパ、ジャンル幅広いよね?」
「ああ。東京での9年間、当時の各バンドのメンバーの好きな音楽性や世界観を、徹底的に叩きこまれて来たからなあ、ロック、ジャズ、テクノ、エレクトロ、EDM、ヒップホップ、ラテン、レゲエ、ボサノヴァ、トランス、メタル、クラシック、オルタナティブ、グランジ、パンク、モータウン、サイケデリック、サーフ、80年代サウンド、演歌、他…。」
「てかそいつら、自分の好きなジャンルをパパに覚えさせ、パパを徹底的に利用するつもりだったろうけど、逆にパパに音楽性を模倣され、更に良い物に昇華され、こうしてあーしらの糧になるとは、何とも皮肉なモンだね~♪」
とママが彼女達を皮肉った。更に古田さんが続ける。
「がっはっはっはっは!、そうだな。ちなみに社長が『お前達のアルバムと一緒に、バンドスコアも発売する。お前達のギターパートは初心者用フレーズとしてはうってつけだから』と仰ってたぞ」
ちなみに、タイトルはそれぞれ、3rdシングルは『Beast All Men!』で(男は皆ケダモノだ!)という意味だ。あと今回のわたし達の課題は、アルペジオが出来るように、と社長から言われた。最後に1stアルバムは、Digital Tattooをもじって『Digital立とう!』で行く事になった。命名者は、勿論ママ…。
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