第15話 荒れる成人式(明未の視点)

2029/1/7(日)AM7:00


 この日の朝、蘭お姉ちゃんが「眠いっす…。」と言いながら身支度をして、東京駅から新幹線に乗り、粟駒高原駅に着くとすぐさま、ママが迎えてくれて、わたしはこう聞いてみた。


「これから地元に行くんでしょパパ?」

「ああ、やっとご挨拶に行けるけど、どっちから先に行く?」

「あーし先にパパの実家に行きたい、行ってとっとと追い返されたい!」


 と言い出すとパパが気まずそうに。


「母さんなら本当にやりそうだ…。」と俯きながらそう言った。わたし達は先に、パパの実家に挨拶しに行く事になったんだけど、玄関先で悦子さんがセールスマンを追い返すような顔をしながら。


「何しに来たの?、あんた達の顔なんか見たくないって言ったでしょ、早く帰りなさい!」と、パパの予想通り怒鳴って来た。横に居た敏郎さんが「母さん、そんな言い方しなくても、折角東京から来てくれたのに…。」と宥めていた。パパが(やっぱりこうなるか…。)と言う顔をしてる中、蘭お姉ちゃんが何を思ってか!。


「あの~、一応ダメ元でお願いがあるんすけど、ボクお年玉欲しいっす!」

「あっ、あーしにも下さい、一応まだ未成年なんで。後めいみんにも!」

「あんた達にあげるムダ金なんか無いわよ、もう来ないで頂戴!」


 と悦子さんに怒鳴り返され、ドアを閉められた…。すぐさま、パパが呆れながらこう切り出す。


「お前ら『お年玉下さい』とか言うなよ、しかもよりによってあの母さんに…。」と言うとママが「だって欲しかったんだも~ん♪」と言うと蘭お姉ちゃんも「ボクもっす!」と、2人共反省してない感じだった。わたしとパパが呆れてる中、後方から「兄さ~ん!」と女性の声がした。


「おお克恵、去年のお盆以来だな。悠介君も」とパパが言うと、悠介さんも「お久し振りです、お義兄さん」と続けた。パパが2人を差しながら。「皆、紹介する。妹の克恵と、その旦那の悠介君。恵介君3歳半と、悠克ゆうかちゃん1歳半だ。」と紹介してくれた。


「初めまして皆、『小寺克恵こでらかつえ』です。ごめんね皆、母さんが色々酷い事を言って…。」と言うとパパが「いや、最初から想定済みだから…。」と力無く答えた。


「所で兄さん達、これからどうするの?」と克恵さんが聞くとパパが「ママのご両親にご挨拶しに行く所なんだ」と言うと克恵さんが「もしお邪魔でなければ、あたし達も伺っても良いかな?」と言うとママが「是非来て下さい、大歓迎ですよ!」と言うと蘭お姉ちゃんも「ボクもっす!」と同調した。


「わたしもパパの妹さんと話をしてみたいと想ってたんだよ」と言うとママが「じゃあ皆であーしん家にレッツゴー!」と言ってそれぞれの車に乗ろうとしたその時、「あれ、もしかしてヅラヅラさん?」と身長180cm位ある30歳位の男性がパパに話し掛けて来た。


「島泉さん?、お久し振りです」とパパがそう言いながら会釈した。わたしが「パパの知り合い?」と尋ねると「デビュー直前迄勤めてた職場の同期さんだよ」と言うと蘭お姉ちゃんが「ああ、例のブラック企業すか?」と言うと島泉さんが。


「そうなんだよ。ヅラヅラさんがバックレた後に俺が正社員にさせられて、毎日定時残業や板挟み地獄なんだよ…。」

「ははは、そうなんですね…。じゃあ俺達はこれから妻の実家に、新年のご挨拶に行くのでこれで失礼します…。」


 とパパがそう言ってわたし達は車に乗り込んで出発した。出発直後、わたしは頭に来て。


「何なのあの人?。パパの事を『ヅラヅラさん』とか呼んでるのを聞いてて、段々怒りが込み上げて来たよ!」

「ボクもっす!。てかパパの居た職場って、あんな人ばっかりだったんすか?、そりゃ辞めたくもなるっすよ!」

「周りに流されて惰性だけで生きてると、ああなっちゃうんだねえ~…。」

「俺は運が良かっただけだよママ」

「わたし、ああならないように頑張るよ!」

「ボクもっす!」


 こんな感じで語り合いながら、ママの実家へと向かった。到着後、蒼乃さんが「いらっしゃい、皆東京からわざわざ来てくれて有り難う」と出迎えてくれた。アビーさんが「ところでそちらの皆さんは?」との問いにママが「パパの妹さん一家」と紹介してくれた。


「すみません、急に押し掛けて来てしまって、しかも子供達まで連れて来て…。」と挨拶してすぐさま悠介さんが「あの~これ、つまらない物ですが…。」と差し入れを渡すと蒼乃さんが「あら~すみません。さあどうぞ、上がって下さい、ただ…。」と言った後、一呼吸置いてママに。


「丁度今、ざくろちゃん、初ちゃん、そして瑠実ちゃんも居るけど、それでも良い?」と言われ、数秒間の沈黙後。


「構わないぜ、ルミーもそう言ってるし」と蒼絵お姉ちゃんが現れて、そう言うと蘭お姉ちゃんが。


「蒼絵お姉さん、お久し振りっす!」

「わたし達3人は学芸会以来だね、蒼絵お姉ちゃん」

「そっか、俺達と違ってママはこっちの高校に通う為に帰ってたからな…。」

「皆、立ち話も難だし、取り敢えず中に入ろーよ?」


 ママのその言葉に促され、わたし達はお邪魔した。蒼乃さんがわたし達をもてなす準備をしていると、ざくろお姉ちゃん、初お姉ちゃん、そして瑠実お姉ちゃんも現れ、わたしも含め皆で手伝った。準備が終わり、乾杯してすぐさま、克恵さんが。


「瑠実ちゃん、兄さんが色々申し訳ない事をしてごめんなさい…。」と開口一番、瑠実お姉ちゃんに謝罪した。パパもすぐさま「俺も本当に済まなかった!」と深々と頭を下げると瑠実お姉ちゃんが。


「もう謝らんでええ。あびる姉の宣言通り、ホンマに大ブレイクしたから許したるわ」

「瑠実お姉様の言う通りですわ!」

「くくく。流石我が眷属、我の千里眼に狂いは無かった…。」

「何かこのやり取りも久し振りで嬉しいよ…。」


 とわたしが言うとママが「そう言えば皆、就職先と車の免許はどう?」と聞くと蒼絵お姉ちゃんが。


「アタシは正月明けてから自動車学校に通ってる、誕生日4月1日だし…。だから先に就職先決めた。警備員だ!」と言うとママが「自宅警備員?」とニヤニヤしながら聞くと蒼絵お姉ちゃんが「ガチの警備員だ!、『ナイソックス』って言う警備会社に就職したんだよ!」と返すとママが「ゴメンゴメン、冗談だよ~♪」とあまり悪びれずにそう返し、瑠実お姉ちゃんがこう続ける。


「ウチは年末ギリギリに卒検終えて、昨日免許取ったで!。まあ技能教習3回落ちてもうたけどな…。」

「わたくしは今、第2段階を半分終えた所ですわ」

「我はまだ第1段階を終えたばかりだ!」


 とざくろお姉ちゃんが『中二ポーズ?』を取りながらそう言うと克恵さんが。


「そう言えば少し前にTV観てたら、兄さんが記者会見に出ていてビックリしましたよ…。実はあたし中1の時、当時高1だった国太と安藤に『やらせろ』って言われた事があったんですよ。その時晃子も居ました。2人共いつか絶対何かやらかす、とは思ってたけどまさか本当に…。」と言うと悠介さんが続けて。


「そっか、ママも怖い想いしたんだな…。明未ちゃん、あの一家の理不尽にずっと耐えて来て辛かっただろうし、何よりあんな目に遭わされて、2人共本当に怖かったよね?」と優しく語り掛けると、わたしは一呼吸置いて「はい…。」と答え、蘭お姉ちゃんも「ボクもっす…。」と答えた…。数秒間の気まずい沈黙後、蒼乃さんが。


「そう言えばお子さん達は今いくつなの?」と聞くと克恵さんが「上の子が今3歳半で、下の子が1歳半です」と答えた。ママが「めいみんどしたの?、何かしんみりしてるけど…。」と聞いて来た、一呼吸置いて。


「わたし、こうして会話の輪に混ぜて貰えて凄く幸せです。前の家族や親戚の時は、喋ると前の両親から怒られたり、酷い時にはぶたれましたから…。」と言うと蘭お姉ちゃんも続けて。


「ボクもっす。元母さんから『並以下のくせに勝手に会話に混ざるな!』とか怒鳴られてぶっ叩かれて来たっす、元父さんは毎回ボクに対してだけは一貫してシカトしてたっす。2人共元姉ちゃんには普通に接してるのに…。」と語った。蒼乃さんが「その元お姉さんからもカッターで襲われたりして、2人共色々辛かったのね…。」と寄り添ってくれて、この重苦しい雰囲気を打破するように。


「そうだ、皆にお年玉をあげるわ」と言うとアビーさんもすぐさま「俺からも受け取ってくれ」、悠介さんも「俺からもあげるよ」、克恵さんも「あたしもあげる、母さんには内緒よ?」と言って、パパも「俺からもお年玉だ」と、皆それぞれお年玉をわたしとママと蘭お姉ちゃん、そしてBerryenの皆にくれた。ちなみに中身は全員、千円札だった。わたしはその気持ちだけでも充分嬉しかった。そんな中、瑠実お姉ちゃんが。


「皆さん有り難う御座います。てかぎょうさん稼いでる筈の桂兄が何で千円やねん!?」

「瑠実お姉様の言う通りですわ!」

「何故我がレイガルマ帝国に収める税がこれっぽっちなのだヤミノよ!」

「まだ印税入って来ないから必要最低限の生活費しか貰えてないんだよ!。それにデビューシングルの印税は0円なんだ…。」


 とパパがデビューシングルの印税が何故0円かを説明しつつ、わたし達は皆で食事や談笑を楽しみながら新年の挨拶を終えた…。


「それじゃあ私達、そろそろおいとま致します。今日は色々有り難う御座いました」と克恵さんが言うと蒼乃さんが「こちらこそ有り難う、色々楽しかったわ」と言うとアビーさんも「又いつでも来て下さい」と言った。


「皆、兄さんの事宜しく頼むわね、色んな意味で…。」と克恵さんが言うとママが。


「任せて下さい、バッチリ支えます!」

「ボクもっす!」

「わたしも!」


 とわたし達3人で言うと、パパが苦笑いしながら克恵さん達を見送った。すぐさまざくろお姉ちゃんも。


「くくく、では我らも帰るとしよう。」

「ウチも就職先しっかり決めるさかい、安心せえ!」

「瑠実お姉様の言う通りですわ!」


 とそれぞれ言うとママが「皆無理しないでね、あーし達もBerryenが最高の形でデビュー出来るように根回ししとくから!」と言って皆帰って行った。後片付け終了後、わたしがこう切り出す。


「でも、克恵さん達が優しい人で良かったよ~…。」

「ホントっす、悦子さんみたいな人だったらどうしようかと想ったっす!」

「まあ克恵も、母さんの嫌な面を散々見て来たから『ああはなりたくない』んだとよ…。」

「今日はもうゆっくり休もう。2人は明後日、成人式でライブやる訳だし」

「くそー、次々と仕事が来て羨ましいぜ~!」

「でも蒼絵お姉ちゃん、成人式は毎年各地で荒れるって聞いたから怖いよ~…。」

「ボクもっす!。まして地元だから尚更…。」


 と蘭お姉ちゃんが喋ってるとわたしのスマホに電話が来ていた、以前一緒にアフレコした外山さんからだった。


「もしもし?」

「ああ明未ちゃん、久し振り!。啓発CMのアフレコ以来だね、今大丈夫?」

「はい、大丈夫です。どうしたんですか?、何か嬉しそうですけど…。」

「実はね、今度の4月にやる、なろう系のアニメ『俺、何かやっちゃいました?』のメインヒロインの役を得られたんだよ!。ちなみに穂村ちゃんは主人公の幼馴染でメインヒロインのライバルの少女の役に選ばれたよ!」

「おめでとうございます!、凄いじゃないですか2人共?」

「明未ちゃんと蘭ちゃんの方が凄いよ!。見たよ、CMと記者会見、後2人が出てる音楽番組。それより2人共今まで色々大変な人生だったみたいだね…。」

「はい、まあ…。でも今は2人共凄く幸せな人生を送れてます!」

「そっか、良かったよ…。蘭ちゃんと桂さんにも宜しく伝えといてね?」

「はい!、こちらこそ穂村さんに宜しくお伝え下さい。わたし達もそのアニメ、絶対観ます!」

「有り難う。あたし達も応援してるから、じゃあね…。」


 わたしはこの事を皆に伝えると、一緒に喜んでくれた。ちなみに蒼絵お姉ちゃんが「くっそー、お前ら声優さんとも仲良くなれて羨ましいぜ!」と言われた。こんな感じで夜迄語り合い、わたし達は成人式のライブに備えた…。


2029/1/8(月、祝)PM3:00


 成人式当日、古田さんとも合流し、わたしと蘭お姉ちゃんは主催者の指示通りに準備し、壇上で市長が校長先生の長話のような内容の話を終えた後、わたし達を紹介した瞬間、会場は大盛り上がりになり、デビュー曲と今回の新曲を披露した。こうしてわたし達の成人式サプライズは、大盛況で無事終えて、控室に戻るとパパが。


「お疲れ2人共、よく頑張った!」

「あーしも凄く感動したよ~!」

「無事に終わって本当に良かったよ~!」

「ボクもっす!。ヤンキー達が壇上に上がって、襲って来るかと冷や冷やしてたっす!」

「そうだ!。折角来たんだから皆で小スタジオに行ってみない?、蘭姉ちゃんと想い出に浸りたいし。古田さん、行って来てもイイ?」

「ああ、良いぞ。その間あたしは、社長に報告と業務連絡しとくから」


 こうしてわたし達は、想い出の地の1つである、氷の里ホールの小スタジオの中に入ると早速ママが。


「サプライズ終わったから、流石に誰も居ないね~」

「ここで明未クンは、初めてレコーディングしたんすよね?」

「そうだよ。後、智枝も…。」

「あいつらには毎回、本当に痛い目に遭わされたよ。肉体的にも、精神的にも、経済的にも…。」


 パパがややブルーになりながら過去を振り返ってると、出入口の方から「ならもっと痛い目に遭わせてやろうか?」と声がした。


 振り返ると、そこには振袖姿の女性4人と袴姿の男性4人が居て、すぐさまドアの鍵を掛けて、防犯カメラに丸い形の段ボールを付けた棒を当ててすぐさま、ひときわ派手な振袖の女性がこう切り出す。


「久し振りだな智加、去年のお盆以来か?」

「誰すかあの女、明未クンの知り合いすか?」

「う、うん…。倉松多香子くらまつたかこさんって言って、晃子3姉妹なんだけど、その長女、照美さんの娘さんなんだよ。ちなみに二女は寿枝さん、以前話した従姉妹のお母さん」

「その倉松 多香子さん達が、俺達に何の用ですか?」

「ホントそうですよ~。しかもご丁寧に鍵迄掛けて、おまけにカメラを段ボールで覆って!」


 とママがそう言うと、多香子さんが。


「違えよ、今は『春川 多香子』だ。隣に居る春川周孝はるかわかねたかと少し前に結婚したからよ。つかお前らのせいで鮫妻家はバラバラだ!。国太さんは安藤っておっさんと一緒に逮捕されるし、晃子さんと智枝ちゃんはすぐ釈放されたけど、寿枝さんトコに住む事になって肩身の狭い想いをしてるんだぞ!」


 思わぬ形で智枝達の現状を知る事が出来た中、パパが。


「自業自得だろそんなの!。てかあの家で明未がどんな目に遭わされて来たか、従姉妹なら知ってるだろ?」

「てかこんな事したら、人生詰むっすよ~先輩方。今すぐあーしらの目の前から消えてくれれば、警察に通報しないであげますよ~?」

「うるせえよ外人女!、あたしらをゆする気か?。皆、頭に来たからこいつらとっととやっちまうぞ!」


 と多香子さんの掛け声を皮切りに、全員でわたしと蘭お姉ちゃんに向かって来た。流石のママも男女4人、計8人じゃ勝ち目が無いと悟って、蘭お姉ちゃんを庇う事に、パパはわたしを庇う事に専念した。周孝さんが、わたしを庇ってるパパを何度も殴ったり蹴って来た。そんな中、パパが。


「大丈夫だ明未。お前には指1本触れさせねえ。てかこうしてちゃんと抱きしめながら庇う事が出来て嬉しいぞ、国太ん家の時はまだ家族じゃなかったからお前を抱きしめて庇ったりしたら、即事案になってたからな…。」

「どけ、邪魔すんなよおっさん!」

「んだぞおめえ!、だっせー格好で歌いやがって!」

「つか、あたし振袖だから蹴りづらいんだけど!」

「あたしもだよ~…。」


(ならこんな事しなきゃ良いのに…。)と想っていると、すぐ傍で同じように、ママが蘭お姉ちゃんを身を挺して庇っていた。そんな中鍵が開けられて、ここの職員さんと思しき30歳位の男性と古田さんが入って来た。この惨状を見た古田さんが「大丈夫か皆!」と言い、更に職員さんが。


「てか、何やってんだお前ら!」

「ああ、何だおめえら?。邪魔すんなら纏めてぶっ●すぞコラ!」

「やめな周孝!、こうなったら警察が来るのも時間の問題だ…。」


 こうしてその後すぐに警察が来て、ヤンキー8人組は逮捕された。成人式自体は荒れなかったが、まさかこんな目に遭わされるなんて思わなかった…。ママとパパは病院に運ばれて、古田さんとわたしと蘭お姉ちゃん、事情を知って駆け付けてくれたBerryenの皆も同行した。治療室から病棟に移されたパパとママを皆で心配し合う中、パパがこう切り出す。


「俺もママも命に別状は無い、との事だ。心配掛けて済まない、古田さん」

「本当か?、良かった…。」

「全くどうしようもねえ奴等だぜそいつら、20歳にもなって!」

「蒼絵お姉様の言う通りですわ!」

「某子供探偵と逆やな。体は大人、頭脳は子供!、みたいな?」

「つくづく人間とは浅はかな生き物だ…。」

「でもボク嬉しかったっす!、ママが身を挺して庇ってくれて。だってママ、明未クンにしか興味無いのかな?、ってずっと不安だったっす!」

「それは絶対無いよ!。蘭姉ちゃんもめいみんも同じ、大切な愛娘だから!」


 蘭お姉ちゃんが「ママー!」と泣きながら抱き付いて甘えた。ママが「おーよしよし」と言いながら頭を撫でていた。こんな感じで甘えられる人が、前の家族には居なかったんだろうなあ、わたしもだけど…。


 翌日の午前中に地元に帰り、例の惨劇から丁度3ヶ月経ったので、性病検査を受けに行った。更に翌日、わたし達が地元の成人式でサプライズを行ない、その後に元ヤン8人組に襲われた事がニュースになって、それが良くも悪くも話題になってCDが売れた。それから更に1週間後。


2029/1/16(火)


 この日、学校が終わったらすぐ会社に来るように社長に言われ、わたし達3人は急いで社長室に向かうと、桜庭さんがこう切り出す。


「1月10日のCDシングル週間ランキング、初登場1位で売り上げは約150.2万枚です、おめでとうございます」

「やったね蘭お姉ちゃん、又1位だよ~!」

「しかも前回より売れたっす!、千枚だけっすけど…。」

「多分前作よりはロングヒットしないだろうな~。しかも今回の事がニュースにならなかったら、前作より売れなかったと想う…。」

「がっはっはっはっは!。そう気を落とすな桂、これからも良い曲を作り続ければ良い」


 と古田さんに言われ、社長が更に続ける、。


「そう言えばお前達、これから病院で検査結果を聞きに行くんだろ?」

「はい。わたし、不安で怖くなって来ました…。」

「ボクもっす…。」


 社長からの報告後に4人で病院に行った、ベンチで呼ばれるのを待ってる時にわたしは思わず。


「もし性病に罹ってたらどうしよう…、特にエイズだったら10年以内に●んじゃうんでしょ?、完治もしないらしいし、怖いよ…。」

「ボクもっす。折角皆と家族になれて、Berryenのような素敵なお姉さんも出来たのに…。」


 と不安がるわたし達にママとパパがそっと手を握りながら。


「大丈夫だ2人共。もしそうなっても、俺達は絶対2人を見捨てない!」

「そうなったら、残りの人生を素敵な想い出で埋め尽くそう!」


 と言ってると看護婦さんから呼ばれて中に入り、主治医から2人共全て『陰性』、つまり何の病気にも感染していないし妊娠もしていない、という結果を伝えられた。その瞬間わたしと蘭お姉ちゃんは抱き合いながら泣いて。


「良かった、本当に良かったよ蘭お姉ちゃ~ん!」

「ボクもっす!。一時はどうなるかと思ったっすよ~!」

「本当だよ~。2人がもし●んじゃったらあーし、生きて行けないよ~!」

「ホントそうだよな~。何の性病にも感染して無くて、本当に良かった…。」


 とママとパパも泣いて喜んでくれた。田沼一家だったらきっと皆無関心だったろうし、鮫妻一家だったら逆に怒られて、最悪ぶたれてたかも知れない…。ちなみに2ndシングルの売り上げは最終的に下記のようになった。それに近い売り上げの曲がどれ程凄い曲かを後にパパに教えて貰って、蘭お姉ちゃん共々にビックリした。


 201.2万枚 ●は●つ(K●N)

 200.2万枚 成人に幸あれ!(Digital Tattoo)

 199.7万枚 ●ード(●HE ●舞竜)


{上記の記載は作中のオリジナルの設定で、実在する売り上げ記録とは一切関係ありません。}

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