第6章

 悲劇だ。シジミさんがいなくなった。ついでにシルクもいなくなった。シジミさんは一週間前、シルクは三日前、突然どこかへ連れていかれた。そしてそれっきり会っていない。

 シルクがいなくなった日、オジョ―サマはずっと大声で泣きわめいていた。

「なんでシルクまで売ったの!!」

「仕方ないでしょ、パパが帰ってくるんだから。パパは犬が苦手なのよ」

「ママのバカ! わあああー!」

 また泣き出した。今日も昨日と同じことを言っている。何を言っているのかはわからないが、周りの背の高いやつらとママとよばれた気が弱そうなやつが困っていることはよくわかった。

 そしてもう少し時間がたったらきっとむくれた顔をして、僕で遊ぶのだ。

 オジョ―サマがやっと静かになった頃、僕とママとかいうやつは似たような顔をしていた。

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