第4章

 僕はアロエじゃない。なぜなら僕は僕であり、僕は名前ではないからだ。もっと言うと、あいつらに勝手に名前を付けられる筋合いもない。

 つまり、僕はアロエじゃない。

「アーロエー!」

 あの日から、僕の生活は一変した。気が付くとよくわからない場所から出られなくなっていた僕は、アロエと呼ばれ、あの変なやつらと生活を共にすることになった。

 どたどたと近づいてくるやかましい足音から全力で逃げる。

「アロエー? どこー?」

 この声は、ここにいる変な奴らのなかで一番小さいオジョーサマとかいう奴だ。

 つかまったら面倒なことになる。

 一週間前は、あいつが滑って遊んでいる遊具の上に連れていかれ、そこから投げられた。何とか着地をしたが、かなり危なかった。

 その前は、ちょうど僕の全身が入るほどの大きさのかごに入れられ、ふたをされた。あいつが僕のことを忘れたらしく、2時間以上身動きも取れないまま閉じ込められた。

 この間など、大きな水たまりの上を進む木の箱から突き落とされた。死に物狂いで泳いでいる僕を、一緒に乗っていた太ったやつが大慌てで助け上げた。

 あいつは僕を何だと思っているんだ。

「アロエがいないー!」

 よし、上手く逃げられそうだ。このまま・・・

「こちらですよ、お嬢様」

「あ、アロエー!」

 二つ目の角を曲がったところでそこに立っていたやつに行く手を阻まれ、追いつかれてしまった。

 僕の首には変な輪っかがつけられている。その輪っかには少し動くだけで音がする金色の丸いものがついており、それのせいで居場所がバレてしまうのだ。

 「アロエ、今日はお砂で遊ぼうね」

 持つという表現がふさわしい抱き方で連行されていく僕の姿は、とてもみじめだと思う。今日はどんな目にあわされるんだろう。

 結局その日は頭から砂をかけられ埋められそうになり、命からがら逃げだした。しかし、泥まみれになったせいで水でじゃぶじゃぶ乱暴に洗われて痛かった。

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