12月3日『ともだち』
帰りの電車の中で、口パクでロックンロールしているのが僕だ、君が読唇術を使えたらどんなに良かっただろう、それでも、僕にとっては君だけなのに、君にとっては僕じゃないんだ。君の寝息なんか聞きたくなくてイヤホンをつけている。たとえ音漏れが僕の言葉だとしても届くことはない、シューゲイザーの音圧が僕の脳みそを揺らす、その揺れは電車の振動と同期することがない。君は電車に揺られて寝ているんだという、絶望、僕はほんとうは恋なんてしたくなかった、君がいればよかった、教室も四号車も僕には果てしなく広いから、君の小ぶりな耳のなかにいたい、レコードに刻まれることのない、鳴り止まない音でいたかった。あんな愛の言葉なんて聞こえないようにしてやりたかった。
ほんとうに恋なんていらない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます