第2話
情報化の進んだ現代。
人間と並んで生活し始めたのは、人間の思考回路を完璧に模倣し組み込まれた人工人類__
第三人工人類共生問題を経て開発された
美味しいものを食べれば美味しいと笑い、悲恋の映画を見れば切ないと泣く。
非合理的としか言えない感情を人工人類が持つことに賛否あったものの、結果としてそれ以降大きな共生問題が出ていないことが何よりの成果でしょう。
そんな私には、憧れの人がいます。
「ルノくんおはようございますっ!」
「おはよう、トワさん」
慌ただしくオフィスに飛び込んだ寝癖の残る私とは対照的に、爽やかに整えられた姿が素敵な彼はルノくん!清潔感のある短い髪に、黒縁の利発的な眼鏡。お気に入りなのかいつも黒いハンドグローブをつけています。
現地出勤すら珍しい現代では、非生産型対人業務はほぼMIMETICが担っており、私は孤独を感じた人間の精神安定業務を行っています。会話の実施、簡易的な触れ合いの対応など、人間の持つ孤独感の緩和業務ですね。
ルノくんも私と同じ人間の精神安定業務をしています。若年層から特に人気を得ているようで、くっついて離れなくなった人間に困ったように眉を下げながら対応している姿も見かけます。
めったなことでは剥離対応もしないので、上司の方からは少し苦言を呈されていましたが、そんな優しいところもとっても素敵だと思います。
「聞いてください!今日のカラコン、新作の可愛いやつなんです」
「あぁ、最近人気の……MIMEα-PA2だっけ」
「そうです!青色の発色もいいし、綺麗に馴染むんですよ」
「トワさんは綺麗な黒髪だからね、すごく似合ってるよ」
大人の余裕を纏いながら優しくにっこりと私に笑いかけてくれるので、私はもうキュンキュンしてしまうのでした。
「エイヒャクさーん、今日こっちで聞き取り対応してもらっていい?人足りてなくて人手割けないんだよねー」
「了解です、お任せください」
エイヒャクというのはいわゆる人類低迷期でいうところの『ペッパーくん』と同じで、Eidolonシリーズ-製造No.100の私を指すあだ名のようなものです。
ただルノくんだけはそれに飽き足らず、製造No.をもじって
ルノくんに手を振って、指定された作業場所へ向かいます。
「じゃあルノくん、今日も頑張りましょうね!」
「うん。頑張ろうね、トワさん」
穏やかに優しく笑うルノくんは、何を考え、何を思い生きているのでしょうか。
どんな回路を搭載しているんでしょうか。詳細設定は?思考負荷はどの程度でしょうか?もしかしたら回路の部品に至るまでオーダーメイドの特注品なのかもしれません。
不思議で、素敵な人です。こんなふうに優しいなんて、きっと彼は特別な人なのです!
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