第2話 狙われている?
高校の帰り道。私が友達と別れて家に向かうことはなかった。
誰かに後をつけられている気がする。
兄姉に助けを求めようにも、今の時間はそれぞれ裏で仕事をしているだろうから助けてもらえる望みは薄い。
けれど一応助けを求めるメッセージを送っておく。
あの兄姉のことだ。爆速で仕事を終えて来てくれるかもしれない。
どうしてこんな時に限って……。
私はため息をついた。
仕方がない。セーフハウスとして所持しているひとつを明かすしかないか。
なるべく付けられていることに気づいていないふりをして、その家へ向かう。
にしても相手は尾行が下手だ。
私がただの女子高生だと思われているか、わざとなのか……。
どちらにしろ、注意しなければならないことに違いはない。
尾行人と程よい距離を取りながら家に着く。
小さなアパートの一室に私は入る。
きっとこの部屋に入るところも見られていた。
この部屋のものは全て回収しておかないとな。
部屋を見渡す。
時々こうなることがあるので極力物を部屋に置かないようにしているのだけれど。
「この部屋だったか……」
ずいぶん前に使ったっきりだったので忘れていた。
部屋の至る所に私の写真が貼り付けられている。
正直、尾行されるよりも恐怖を覚える。
無理やり撮らされた写真に、なにも知らなかった純粋無垢だった頃の私の写真。明らかに隠し撮りのものなどなど。
ストーカーを超えていそうである。
こんな個人写真、残しておいてはたまらない。
前に使った時に掃除したはずなんだけどな。
至るところに貼られた写真をペリペリと剥がしていく。
ん、これは私が高校入学した時の。
高校入学前後にこの部屋を使った記憶はない。と言うことは、あの双子のどちらかがこの部屋をコレクション部屋として使っていた?
いやいやいや、いくらなんでも私たちは裏の人間だ。そんなこと……。
しそうだ。
どうも私のことになると頭のネジが数十本飛んでいくからなぁ。
二度とこんなことはしないようがっつりお説教しよう。
ようやく半分程の写真を剥がし終えた。
まったくあの人たちときたら、写真の下にも写真を貼ってやがる。
剥がすのに時間がかかるわけだ。
するとあのふたつの足音。
「月渚、大丈夫か。誰にやられた?ストーカーか?お前は可愛いから心配だったんだ。無事でよかった」
「わーん月渚ちゃん連絡くれてありがとうね、もっと早く来れたらよかったんだけどごめんね。ストーカーなら私たちがやっつけるからねっ」
じゃあお互い殴り合ってください……ではなくて。
「2人が思うようなストーカーではないと思う。それにしては上手だったから……」
2人の纏う雰囲気がガラリと変わる。
毛を逆撫でされたような気分だ。
「……わかった。明日からは私たちのどっちかが月渚ちゃんの護衛をする」
「そうだな。その方が俺たちも安心できる」
「そこまでしなくても大丈夫だよ。そいつ、尾行するにしては下手くそだったし」
私だって護身術を身につけているし、ある程度は自分の身は自分で守れる。
「だめだよ。もう家族を失うのは嫌なの」
「それは……」
「俺たちにとって、月渚は生きる理由なんだ」
まっすぐ見つめられる。
言っていることは私もすごくわかる。だからなにも言い返せなかった。
「じゃあ、お願いします」
「ああ」「うんっ」
2人がついてくれていたら安心なのは間違いない。
またこうして拠点を潰さずに済む。
「……お仕事から早く戻って来てくれてありがとう」
本当は帰るの、深夜になりそうって言っていたのに私のために戻って来てくれた。
それが嬉しい。
「「ん!」」
「なに……」
抱きついてこい、ということだろうか。
そっくりな顔がニコニコ私を待っている。
いいか、私はJK2年目なんだぞ。恥ずかしいんだ。
……まぁ、今日くらいはいいか。
私はちょっとずつ2人に近づいてすぽんとおさまった。
2人は満足げだ。
「ところでこの部屋にある私の写真、貼ったの誰?」
私の問いに短い悲鳴をあげて、2人一緒にあとずさって行ったのはとても滑稽な光景だった。
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