True End
1
彼女は夢の中にいた
安全で、温かく、幸福な夢
ひとりの少年がその欠片をぬすんでいった
彼女は彼に期待した
夢を現にみせてくれることを期待した
けれども彼は遠くへ行った
少年は悪意だったのだろうか
彼女は失望しようとした
再び失望しようとした
その心は悲嘆に熱かった
2
涙の数だけ
差し出さなければならない純粋があった
夢の世界ではもう
守りきれない純潔があった
だから彼女は諦めた
救いの手のあることを諦めた
3
彼女は目を覚ました
現には
夢はひとつも残っていない
彼女は唯ひとりの彼女になった
救いは待たない
その足で歩み
真実を抱く心を取り戻すため
暗闇の中
果てのない旅へ
4
何故 生まれてきたのだろう
彼女は無力を思う
無知を思う
虚ろなこの身は
誰のためにもならない
他者は 生身の人間だった
彼女と同じように
他者の存在に苦しみながら生きている
虚ろなこの身は
ただ 彼方の苦しみ
ならば死んでしまえ
無力な私など死んでしまえ
5
真実は
この身にあって
おそろしかった
虚ろであれば
こわくはない
もう救いは求めない
もう夢は必要ない
誰でもなければ
真実さえも無力なのだ
6
朝は来ない
そこには呪いがあり
絶望があり
彼女は誰でもなかった
救いなど初めから無かったのだと
嘯くいつわりの太陽
白昼夢の闇
出口は堅く閉ざされた
7
彼女は絶望の中にいる
真白な悪夢の中 傷むからだを見つめつづけた
ただ不思議だった
初めは、ただ
この世で唯一の貴いものを
どうして彼らはきずつけたのか
答えがないことが真実であり
それこそが絶望のすべて
闇をすっかり汲みとる甕などない
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