第4話 エリオとしての生活



あれから何度か季節が巡り、俺は6歳になった。


そして俺もこの世界を自分の足で立ち、自分の目で見る事が出来るようになっていた。


もちろん、オムツもとっくの昔に卒業した。


「おはようエリオ!」

「おはようございます!」


俺は今、小さな村でエリオとして生きている。


「エリオ、妹は元気か?」

「はい!元気にしてますよ!」


あの無力な赤子時代を乗り越え、今では妹までいる。


新しい家族には案外早く馴染むことができた。


勿論、何も言わず置いてきてしまった人がいる……心配だけど、きっとあっちは俺が消えて苦労が減るだろう。


それに、俺はこっちで生きる覚悟はもう決めた。

なら後は後悔しないように生きていくことだけ。


あと、それに関しては俺を連れてきた奴が悪い、最後に感謝くらいはさせろよな。


「ただいま〜」


朝の日課である走り込みが終わり、家に帰ってきた。


当たり前だが、この走り込みは将来のためだ。

やはり何をするにも体力と強い肉体は大切だからな。


「おかえりエリオ、今日も走ったなぁ」

「今日もお疲れ様、でも無理はしなくて良いのよ?」

「ううん、俺が好きでやってる事だから」

「うぅ、成長したわねエリオちゃ〜ん!」


俺は体が育つにつれ訓練的な事をしてきたが、少し過保護なとこがある母さんはいつもこんな感じだ。


「……おかえり、お兄ちゃん」

「うん、ただいま!」


母さんの後ろから、ひょこっと顔を出してきたのは妹のリリーだ。


俺とは2歳差の4歳で、同世代の子供の中でも物静かな子だ。


「お兄ちゃん、」

「どうした?」

「んっ、」


そういう事か、


「今日もか、リリー」


リリーはこうやって1日に何回か頭を撫でるのを要求してくる。このおねだりがとても可愛いくて、ついつい撫でてしまう。


「……えへへっ、」

「ほんと、リリーはお兄ちゃんっ子だね〜」

「えっ⁉︎ リリー、パパは?」

「パパはいい、」

「な、なんでだよ〜!」

「ははっ、」


これが今の俺の人生なんだ、些細なことを家族全員で笑って過ごす。


何気ないこの生活も俺には新鮮なもので、ただ嬉しかった。



さて、家族団欒の後は勉強だ!


この生活を守るため、転生者として強くなるために勉強をする。


正直、俺は産まれてから気になる事だらけで、歩けるようになってからは一人で本棚の本をあさって読み耽っていた。


俺はそんな生活の中で、魔法以外にも転生者について調べていた。


文字がわからない書物はなかったし、読める本は大体読んだがそもそも関する物や転生者に関わる物は無かった。


「……うん、やっぱり載ってない、」


まぁこれはいったん保留、そして現在進行形で励んでいるのが魔法。


魔法に関する本は多種多様で、儀式にそのまま使う物だったり本によって魔法を発動したりもあるらしい。


でも、うちには「魔法の使い方!」みたいな分かりやすい本が無かった。


唯一あったのが「魔法とは」、でもあれには魔法の行使方法が載っていなかった。


だから母さんに頼み込み買ってもらったこの本「魔術基礎」が俺が魔法の行使法を知れる唯一の宝物だ。



今は半分くらいまで読み終わったくらいで、俺も基礎属性魔法と低位属性魔法くらいは使えるようになった。


ちなみに両親に見せたら驚かれた、

普通、人が魔法を使うのは10歳を超えてかららしい。


それを聞いた時、胸が高鳴ったのを覚えている。


なんでも、魔力を感じるのに苦労するらしい。

でも一度感じることが出来れば、再現は難しくない。


俺も最初こそ苦労したが、それは時間が有り余る幼児期に解決。


魔力は血液のように体の中を管のように流れている感覚で、本によるとそれが身体強化?に繋がっているとのこと。


何はともあれやっと俺にも転生者らしいことが出来た。


ここからは知識と技術を深めていくターンだ。



現在時点で俺は多くの属性や派生属性がある中で火と風の適正がある事が分かった。


分かった理由としては、「魔術基礎」の本から魔法の詠唱文言を一つ一つ詠唱した。


属性ごとの基礎属性魔法を詠唱し続け、俺は風と火の魔法を発動できた。当時は嬉しすぎて家族に見せびらかしたのも思い出だ。


『母さん見て!風留〈ウィンド〉!」


そのあとも楽しくなって様々な事を試したが、一つランクを上げただけで魔法は発動しなかった。



最初は魔力不足を疑ったが、魔力欠乏による症状は見られなかった。


魔法は魔力をイメージで出力するので、中位魔法など複雑になるにつれ脳を酷使するようになるらしく、おそらくそれが原因だ。


手のひらに意識を集中し、頭の中で炎をイメージして魔力でそれを形作るように、、、


「……ふうぅ」


魔法はイメージ、だからこんな感じで炎として出力するだけなら詠唱なんてものはいらない。


それに、詠唱といっても短い単語だ。


あくまで詠唱が必要なのは魔法という戦闘に特化した技術を扱うためのプロセスだからだ。


「……火球〈ファイアボール〉」


ある程度のイメージと詠唱が組み合わさり、自分の中でその魔力現象が形として理解できた時初めて魔法に昇華する。


俺が使えるのはこんなしょぼいのばっか、威力はあるのだろうが、火球ファイアボールって、、、


ちなみに俺の持つ本に載ってる魔法は規則的な物ばかりで、本当に基礎中の基礎らしい。


他属性を見ても属性を表す文字の後に、球や槍、矢などが付くばかり。


……まぁ、火も風も全然出来ていないんだけどな。


「……今日も練習だな、」


窓の外に向けて腕を構える。

呼吸を整え……詠唱する。


「……ふぅ、 炎球〈フレイムボール〉!」



……やっぱり、出ないんだよなぁ、、、


何も出ないのに詠唱だけは自信満々にやるのがこんなにも恥ずかしい……


でもまぁ、こういうのはやり続けるしかないか。




────────────

ちょっとした後書きです!


次回以降は魔法などにはルビを振ります。

今回だけ見にくいかもしれません。

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