第55話:武道館を揺るがす歌声



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### **第37話:武道館を揺るがす歌声**


武道館の内部は、地鳴りのような歓声と、絵里奈と詩織の歌声で熱狂の渦と化していた。

その熱は、武道館の壁を突き破り、聖地の外へと溢れ出していた。


武道館を取り囲む北の丸公園の広場。

チケットを取れなかった、しかし『TwinSpark』の最後のステージを見届けたいと願う、数千人ものファンが、寒空の下、肩を寄せ合って集まっていた。

彼らは、会場から漏れ聞こえる歌声と、内部の地鳴りのような歓声に耳を傾けていた。


「『Future in the Sky』だ!」

「始まったぞ!」


やがて、会場の音が、わずかに割れて、歌声が聞こえ始めた。

その瞬間、広場に集まったファンたちが、一斉に叫び始めた。


「**ぐぁー!!**」


誰かが、歌い出す。

それは、会場から漏れる二人の歌声に、自分たちの声で応える、大合唱だった。


**「傷だらけでも空を目指そうー!!」**


その歌声は、武道館の中から響く歌声と混じり合い、公園全体を包み込んだ。

そして、その歌声は、武道館の中の熱狂を、さらに増幅させていく。


「私たちも、一緒に歌おう!」

「絶対、届けるぞー!」


数千人の大合唱は、武道館の内部と外部の境界を曖昧にし、**一つの巨大な「TwinSpark」の歌声**となった。

それは、絵里奈と詩織、そしてハルカの歌声が、ファンの心と共鳴し、奇跡のハーモニーを奏でる瞬間だった。


***


その頃、武道館の裏側、控え室でモニターを見ていた江藤小百合は、苛立ちのあまり、ワイングラスを強く握りしめていた。

彼女の耳には、モニターから聞こえる歌声と、窓の外から響く、数千人の合唱が届いていた。


「な…何よ! **うるせー!**」


小百合は、思わず叫んだ。

(私の描いたシナリオは、こんなはずじゃなかった…!)


彼女が用意した舞台は、あくまで自分の支配を誇示するためのものだった。

しかし、絵里奈と詩織は、その舞台を逆手に取り、**「真実の力」**で、ファンを巻き込み、世間を味方につけていた。


「あの歌声…! 私を、嘲笑っているのか…!」


小百合の怒りは、限界に達していた。

彼女の計画は、もはや制御不能になっていた。

武道館の外に集まった数千人のファン。彼らは、チケットが取れなかっただけの観客ではない。

彼らは、絵里奈と詩織の戦いを、**自らの手で支え、共に歌う「共犯者」**となっていたのだ。


そして、その共犯者たちの歌声は、小百合の耳には、彼女の破滅を告げる、**巨大な鎮魂歌(レクイエム)**として響いていた。


運命の大晦日の夜は、まだ始まったばかりだった。

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