第54話:揺れる聖地*


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### **:揺れる聖地**


202X年、12月31日、午後11時45分。

日本武道館は、まさに熱狂の坩堝と化していた。

『TwinSpark』の二人がステージに現れ、謝罪と引退の意を表明した後、代表曲『Future in the Sky』のイントロが鳴り響いた瞬間、会場は地鳴りのような歓声で爆発した。


「**ぐぁー!!**」


一万人の観客がペンライトを振り上げ、ジャンプし、叫び、そのエネルギーは武道館のドーム全体を震わせた。


その熱狂は、武道館の敷地内に留まらなかった。

武道館は、東京の歴史ある公園、北の丸公園の中に位置している。

ライブが最高潮に達した時、近隣のマンションやオフィスビルでは、住民や警備員が異変に気づいていた。


「な、なんだ!? 地震か!?」

「いや、揺れてるぞ! あっちからだ! 武道館の方からだ!」


**武道館周辺の近隣住民から、警察や市役所に苦情の電話が殺到した。**

「夜中に何事ですか! 地面が揺れてるじゃないですか!」

「こんなにひどいのは初めてだ! 騒音だけじゃない! まるで地震みたいだ!」


それは、ライブの音響が限界を超え、一万人のファンの熱狂的なジャンプと歓声が、**物理的に地面を揺らし始めた**現象だった。


武道館の裏側、控室でモニターを見ていた江藤小百合は、その異常なまでの熱狂に、苛立ちを隠せない。

(こんなに、馬鹿なファンがいたなんて…!)

彼女は、自身の掌の上で踊るはずだった少女たちが、予想を遥かに超える力を生み出していることに、僅かな焦りを感じ始めていた。


ステージの上。

絵里奈と詩織は、その地鳴りのような歓声の中で、互いの顔を見合わせ、力強く頷いた。

(そうだ。これが、私たちの『TwinSpark』だ)


詩織は、目に涙を浮かべながら、全身全霊で歌い上げる。

「未来を、掴むために…!」


絵里奈は、クールな表情の奥で、炎を燃やしていた。

(この地鳴りよ、小百合。これが、あんたが蔑んだ**『TwinSpark』の本当の力**だ)


このライブは、単なる音楽イベントではなかった。

それは、ハルカの命を奪ったシステムの欺瞞と、真実を押し殺そうとする権力に対する、**感情の爆発**であり、**大地を揺るがすほどの、魂の叫び**だった。


武道館という聖地を揺るがすほどの地鳴り。

それは、**「何があっても、もう止められない」**という、TwinSparkからの、世界への宣戦布告だった。

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