第19話『その先にある火花』



***


**小説『サスティナブルEmotion』 その先にある火花**


私の願いを聞いて、先生は少しの間、沈黙した。

やっぱり、図々しすぎただろうか。自分の代表作のタイトルを、スキャンダラスな告発本に使われるなんて、普通は嫌がるはずだ。


「……気持ちは嬉しいよ」


先生は静かに口を開いた。


「でも、そのまま同じタイトルにするのは、少し違う気がするんだ。私の『Sustainable Emotion』は、あくまで感情との向き合い方を説いた理論書だ。でも、君たちが書こうとしているのは、もっと熱くて、切実な『命の記録』だろう?」


先生はペンを取り、手元のメモ用紙にサラサラと何かを書き始めた。


「なら、こうはどうだろうか?」


先生はそのメモを、くるりと反転させて私たちに見せた。


「わたしの『Sustainable Emotion』の先にある物語という意味を込めて……」


そこには、力強い文字でこう書かれていた。


**『サスティナブルSpark 2』**


「……え?」


「『Spark』は、君たちTwinSparkのスパーク。そして亡くなったハルカさんの命の輝きだ」


先生は、いたずらっぽく、でも真剣な眼差しで微笑んだ。


「そして『2』は、単なる続編という意味じゃない。私の本が『第1章(理論)』だとしたら、君たちの生き様こそが『第2章(実践)』だということ。それに、君たち『二人』が紡ぐ物語という意味も込めてみた」


「サスティナブル……スパーク、ツー……」


私がその言葉を噛み締めるように呟くと、隣で詩織がボロボロと涙をこぼし始めた。


「素敵です……。最高です、先生……!」


「私の本のタイトルを借りるんじゃない。私の本を『超えて』いきなさい」


先生の言葉が、熱く胸に突き刺さる。

私たちは何度も何度も頷いた。


「はい! このタイトルで……お願いします!」


こうして、私たちの戦いの旗印となるタイトルが決まった。

『サスティナブルSpark 2』。

それは、悲しみを乗り越え、未来へ火花を散らすための、私たちの新しい名前だった。


(続く)


***


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る