第19話『その先にある火花』
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**小説『サスティナブルEmotion』 その先にある火花**
私の願いを聞いて、先生は少しの間、沈黙した。
やっぱり、図々しすぎただろうか。自分の代表作のタイトルを、スキャンダラスな告発本に使われるなんて、普通は嫌がるはずだ。
「……気持ちは嬉しいよ」
先生は静かに口を開いた。
「でも、そのまま同じタイトルにするのは、少し違う気がするんだ。私の『Sustainable Emotion』は、あくまで感情との向き合い方を説いた理論書だ。でも、君たちが書こうとしているのは、もっと熱くて、切実な『命の記録』だろう?」
先生はペンを取り、手元のメモ用紙にサラサラと何かを書き始めた。
「なら、こうはどうだろうか?」
先生はそのメモを、くるりと反転させて私たちに見せた。
「わたしの『Sustainable Emotion』の先にある物語という意味を込めて……」
そこには、力強い文字でこう書かれていた。
**『サスティナブルSpark 2』**
「……え?」
「『Spark』は、君たちTwinSparkのスパーク。そして亡くなったハルカさんの命の輝きだ」
先生は、いたずらっぽく、でも真剣な眼差しで微笑んだ。
「そして『2』は、単なる続編という意味じゃない。私の本が『第1章(理論)』だとしたら、君たちの生き様こそが『第2章(実践)』だということ。それに、君たち『二人』が紡ぐ物語という意味も込めてみた」
「サスティナブル……スパーク、ツー……」
私がその言葉を噛み締めるように呟くと、隣で詩織がボロボロと涙をこぼし始めた。
「素敵です……。最高です、先生……!」
「私の本のタイトルを借りるんじゃない。私の本を『超えて』いきなさい」
先生の言葉が、熱く胸に突き刺さる。
私たちは何度も何度も頷いた。
「はい! このタイトルで……お願いします!」
こうして、私たちの戦いの旗印となるタイトルが決まった。
『サスティナブルSpark 2』。
それは、悲しみを乗り越え、未来へ火花を散らすための、私たちの新しい名前だった。
(続く)
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