第18話『継承されるタイトル』



***


**小説『サスティナブルEmotion』 継承されるタイトル**


「契約成立」の握手を交わした後、私はもう一つだけ、胸に秘めていた願いを口にした。


「あの……先生。どうしても、先生の本のタイトルをお借りしたくて」


「タイトル?」


先生は不思議そうな顔をした。


「はい。先生の『Sustainable Emotion』という言葉に、私たちは何度も救われました。感情は消費するものではなく、循環させるもの。その言葉があったから、私たちはハルカの死という絶望から立ち直り、今日まで生きてこれたんです」


私は、テーブルの上の青い本を愛おしむように撫でた。


「ハルカの想いを、悔しさを、私たちの感情を……ここで終わらせて『消費』したくない。未来へ『循環』させていきたいんです」


私は先生を真っ直ぐに見つめた。


「だから……このエッセイのタイトル、『サスティナブルEmotion』、もしくは『サスティナブルEmotion オリジナル』って……ダメでしょうか?」


憧れの作家の代表作と同じタイトルを使いたい。

それはあまりにも図々しいお願いだということは分かっている。

著作権的にも、ブランディング的にも、普通なら絶対にNOだ。


けれど、これは私たちにとって、ただのタイトルではなく「祈り」そのものだった。

先生は少し驚いたように目を見開き、そしてゆっくりと口を開いた。


(続く)


***

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