第13話『原石の輝き』
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**小説『サスティナブルEmotion』 原石の輝き**
編集者さんに怒られても、私たちは引き下がらなかった。
ここぞとばかりに、持ってきたリュックサックを開ける。
「あの! ぜひ見てほしいものがあるんです!」
私たちは、これまで書き溜めてきた日記帳、スケジュールがびっしり書き込まれた手帳、ネタ出しに使っているボロボロのノートの束を、テーブルの上にどさっと積み上げた。
「これ、私たちがTwinSparkを始めてからの記録なんです。恥ずかしいことも書いてあるんですけど……」
篠原先生は「ふうん」と軽い調子で、一番上にあったキャンパスノートを手に取った。
パラパラ、パラパラ。
最初は退屈しのぎのように、軽い手つきでページをめくっていた先生。
しかし、あるページで手が止まった。
「…………」
スタジオの空気が、ふっと変わった。
先生の瞳孔がきゅっと収縮し、さっきまでの和やかな笑顔が消える。
パラパラとめくる速度が落ち、一枚一枚、文字を追う目が鋭くなっていく。食い入るような、獲物を見つけた猛獣のような目だ。
「……いや、ちょっと」
先生はノートから目を離さずに、低い声で言った。
そして、横に立っていた担当編集者の方をチラリと見た。
「君! ちょっと席を外してもらえるか?」
「はあ!? 何言ってるんですか!?」
編集者さんは目を丸くした。
「えー先生! 原稿! 締め切り! わかってますよね!?」
「わかっていますから。少しだけ、二人と話をさせてくれ。大事なことなんだ」
先生の声には、有無を言わせない迫力があった。
プロの作家が、インスピレーションを受けた時にしか見せない顔。
それに気づいたのか、編集者さんは大きくため息をつき、腕時計を見た。
「……はぁ。わかりましたよ」
編集者さんは、人差し指をピッと立てた。
「10分だけですよ! それ以上は1秒たりともまけませんからね!」
バタン、とドアが閉まる音が響く。
静まり返った部屋で、先生はゆっくりと私たちに向き直った。
(続く)
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