第10話見透かされた下心



***


**小説『サスティナブルEmotion』 見透かされた下心**


いよいよ対談当日。

都内の撮影スタジオには、独特の緊張感が漂っていた。

カメラのフラッシュ、ICレコーダーの赤いランプ。

その向かい側で、篠原先生はいつもの涼しげなパンツスーツ姿で、足を組んで座っていた。


「では、対談を始めさせていただきます。まずは先生の著書について……」


司会進行役の編集者が口を開いた、その時だった。


「あ、ちょっと待って」


先生が片手を上げて、進行を遮った。

そして、身を乗り出して私たちTwinSparkの二人をじっと見つめた。

その瞳は、書店で会った時の無邪気なものとは違い、作家としての鋭い光を宿していた。


「早速なんですが」


「は、はい?」


私たちが背筋を伸ばすと、先生は探るような声色で言った。


「あのさ、もしかして二人……」


ゴクリ、と唾を飲む音が響く。


「わたしに何か頼み? それとも、切実な『相談』があるんじゃない?」


「「……!!!」」


私たちの喉の奥から、「ギクッ!」という音が聞こえた気がした。

心臓が跳ね上がる。

な、なぜバレた!?

実は今日の対談、ただのファンとして来ただけではなく、先生にどうしても聞きたい“ある悩み”を抱えてきていたのだ。


「ちょ、ちょっとちょっと先生!?」


横にいた担当編集者さんが、慌ててタオルを投げるように割って入った。


「対談中ですよ!? 今は先生の本の話をする場なんです! 勝手に人生相談コーナー始めないでください!」


「いや、なんか二人の顔に『助けて』って書いてある気がしてさ」


先生は悪びれずに肩をすくめる。

編集者さんに怒られながらも、先生の目は優しく笑っていた。


私たちは顔を見合わせた。冷や汗が止まらない。

さすがベストセラー作家。人の心の機微を読み取るプロだ。


完全に図星だった。


(続く)


***

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