第10話見透かされた下心
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**小説『サスティナブルEmotion』 見透かされた下心**
いよいよ対談当日。
都内の撮影スタジオには、独特の緊張感が漂っていた。
カメラのフラッシュ、ICレコーダーの赤いランプ。
その向かい側で、篠原先生はいつもの涼しげなパンツスーツ姿で、足を組んで座っていた。
「では、対談を始めさせていただきます。まずは先生の著書について……」
司会進行役の編集者が口を開いた、その時だった。
「あ、ちょっと待って」
先生が片手を上げて、進行を遮った。
そして、身を乗り出して私たちTwinSparkの二人をじっと見つめた。
その瞳は、書店で会った時の無邪気なものとは違い、作家としての鋭い光を宿していた。
「早速なんですが」
「は、はい?」
私たちが背筋を伸ばすと、先生は探るような声色で言った。
「あのさ、もしかして二人……」
ゴクリ、と唾を飲む音が響く。
「わたしに何か頼み? それとも、切実な『相談』があるんじゃない?」
「「……!!!」」
私たちの喉の奥から、「ギクッ!」という音が聞こえた気がした。
心臓が跳ね上がる。
な、なぜバレた!?
実は今日の対談、ただのファンとして来ただけではなく、先生にどうしても聞きたい“ある悩み”を抱えてきていたのだ。
「ちょ、ちょっとちょっと先生!?」
横にいた担当編集者さんが、慌ててタオルを投げるように割って入った。
「対談中ですよ!? 今は先生の本の話をする場なんです! 勝手に人生相談コーナー始めないでください!」
「いや、なんか二人の顔に『助けて』って書いてある気がしてさ」
先生は悪びれずに肩をすくめる。
編集者さんに怒られながらも、先生の目は優しく笑っていた。
私たちは顔を見合わせた。冷や汗が止まらない。
さすがベストセラー作家。人の心の機微を読み取るプロだ。
完全に図星だった。
(続く)
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