第9話待ちわびた逆指名
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**小説『サスティナブルEmotion』 待ちわびた逆指名**
あの日、嵐のように去っていった篠原先生。
「家へおいで!」という言葉をお守りのように胸に抱いていた私たちだったけれど、現実はそう甘くなかった。
「はぁ……終わんない……」
「動画の編集、あと何本あるんだっけ?」
TwinSparkとしての活動に加え、日々の仕事。私たちもありがたいことに目が回るような忙しさで、カレンダーは黒く塗りつぶされるばかり。
先生もきっと、あの恐ろしい(失礼)アシスタントさんに缶詰にされているに違いない。
「先生、元気かなぁ」
「会いたいねぇ……。あの時の言葉、社交辞令じゃなかったと信じたいけど」
深夜のファミレスで、冷めたコーヒーをすすりながらため息をついた時だった。
私のスマホが震えた。画面には、第1話で相談していた雑誌の記者さんの名前。
『夜分にすみません! 例の対談企画の件で朗報です!』
私は慌てて通話ボタンを押した。
「は、はい! もしかして……?」
『決まりました! 篠原七海先生との対談、正式決定です!』
「本当ですか!?」
『それがですね、実は先生の方から編集部に連絡がありまして……。「TwinSparkの二人となら、ぜひ対談したい。いや、ぜひお願いします!」って、まさかの逆指名が入ったんですよ!』
「えっ……嘘……!」
電話を切った後、私は隣で死んだ魚のような目をしていた詩織の肩を揺さぶった。
「詩織! 起きて! 決まったよ!」
「へ……? 何が?」
「対談! 先生が『あの二人と話したい』って、逆指名してくれたの!」
詩織の目がカッと見開かれた。
「マジで!? 社交辞令じゃなかった!」
「マジ! 私たち、公式に先生に会いに行けるよ!」
「「やったーーーー!!!」」
深夜のファミレスだということも忘れ、私たちは立ち上がって盛大なハイタッチを交わした。
パチーン! という乾いた音が、疲労困憊だった心に火をつける。
次は仕事として、堂々とあの人に会いに行ける。
待っててね、先生!
(続く)
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