第8話去り際の招待状
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**小説『サスティナブルEmotion』 去り際の招待状**
「では、失礼します! 行きますよ先生!」
アシスタントの女性は、私たちにキリッと一礼すると、篠原先生のネイビーのトップスの襟首をガシッと掴んだ。
「ちょ、待って! 待って! 締め切りは守る! 守るから!」
「信用ゼロです! 缶詰ですよ、缶詰!」
抵抗も虚しく、先生はズルズルと書店のバックヤードの方へ引きずられていく。さっきまでのクールなオーラはどこへやら、まるで悪戯が見つかった子供のようだ。
しかし、角を曲がる直前、先生は必死に首を捻って、私たちに向かって叫んだ。
「TwinSparkの二人!」
名前を呼ばれて、私たちはビクッと背筋を伸ばした。
「今度、家へおいで! 改めて、ゆっくりお話しましょう!」
「えっ……!?」
「名刺の連絡先にメールして! 待ってるからーーー!」
「先生、うるさいです!」
ピシャリというアシスタントさんの声と共に、先生の姿は棚の向こうへと消えていった。
あとに残されたのは、嵐が過ぎ去ったような静寂と、私たち二人。
私は手の中にある名刺を、震える手で見つめた。
「ねえ、詩織……」
「うん……」
「『家においで』って、言ったよね?」
「言った。間違いなく言った」
私たちは顔を見合わせると、書店中に響き渡るような声で叫んだ。
「「やったーーーー!!!」」
こうして、私たちの奇跡のような、騒がしい物語が幕を開けたのだった。
(第1章・完)
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