第5話「オトコまえ」



***


**小説『サスティナブルEmotion』


「TwinSparkの動画、見てるよ」


その言葉に、私たちは完全に有頂天になっていた。

あのクールな外見で、まさか私たちの動画を見て笑ってくれているなんて!

もう、この人が篠原先生じゃなくてもいい。今日から私たちはこの人の信者だ。


私と詩織がニヤニヤと顔を見合わせていると、彼女はふと何かを思い出したように、ストライプパンツのポケットに手を入れた。


「あ……。申し遅れました」


彼女はすらりとした指先で、一枚のシンプルな名刺を取り出した。


「わたし、作家をしています」


その動作はあまりにも自然で、まるで天気の好さを伝えるかのような気軽さだった。

差し出された名刺には、見慣れた明朝体の文字。


「篠原七海と申します」


一瞬、世界が静止した。

名刺の文字と、私たちが愛読する本の表紙の文字が、頭の中でカチリと重なる。


「え……?」


理解が追いついた瞬間、私と詩織の喉から声にならない絶叫がほとばしった。


「「うわああああ!!!」」


あまりの衝撃に、私たちは示し合わせたかのように、その場で見事にひっくり返った。

腰を抜かした私たちを、先生はきょとんとした顔で見下ろしている。


憧れの著者が、目の前にいる。

しかも、私たちのことを知っている。

そして何より――想像以上に「オトコまえ」な女性だった!


(続く)


***

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る