第3話、バレなきゃ平気



***


### 短編エピソード


会社の倉庫の片隅。

二人の男性社員が、一服しながらだべっていた。


「おい、あれ見ろよ」


一人が顎で指し示した先には、同僚の女性がいた。彼女は白いバンの運転席に何か用があるのか、上半身をぐっと車内に乗り出している。タイトな事務服のスカートが、その体のラインをくっきりと浮かび上がらせていた。


「うわ、マジかよ…。すげえ無防備。隙だらけじゃんか」

「なあ…ちょっとイタズラしないか?」

「イタズラって…まさか」

「パンツ、脱がしちゃえよ!」

「ははっ!いいね、それ!」


悪ノリした一人が、抜き足差し足で彼女に近づく。

息を殺し、そっとスカートの中に手を伸ばした。


「よーし…えいっ!」


パンストごと下着を掴み、一気に足首まで引きずり下ろした。

してやったり、と笑みがこぼれる。


…だが、おかしい。

彼女は全く反応せず、身じろぎ一つしない。


「あれ?」


不審に思って、そっと運転席を覗き込むと…

彼女は気持ちよさそうな寝息をたてて、完全に爆睡していた。


「やべっ!寝てるぞ、こいつ!」


二人は顔を見合わせ、一気に青ざめる。

「まずいまずい!」

大慌てでパンストと下着を元に戻すと、二人は蜘蛛の子を散らすようにその場から逃げ出したのだった。




…二人は蜘蛛の子を散らすようにその場から逃げ出したのだった。


数分後。

物陰からこっそりと様子をうかがう男性社員二人の視線の先で、バンに寄りかかっていた彼女の肩が、ぴくりと動いた。


「ん……ふぁ〜あ…。よく寝たぁ」


大きなあくびと共に、むくりと上半身を起こす。

寝ぼけ眼をこすりながら、ふと自分の腰のあたりに違和感を覚えた。


「あれ…?なんか、スカートの位置おかしいな…?」


パンストが少しよれているような、妙な感覚。

彼女は不思議そうに首をかしげたが、すぐに面倒になったのか、


「ま、いっか」


と小さくつぶやくと、両腕をぐーっと空に突き上げて、思い切り背伸びをした。

その無邪気な姿は、先ほどのイタズラの痕跡など微塵も感じさせない、いつも通りの彼女だった。


その様子を壁の向こうから見ていた二人は、同時に安堵のため息をついた。


「……よかったな…」

「ああ…心臓止まるかと思ったぜ…」


バレずに済んだことに胸をなでおろし、二人はもう二度と無茶なイタズラはよそうと、固く心に誓うのだった。

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