第2話 すごいよ
「だっ、
誰!?」
「乙葵 チヒロだ!
この飲料工場の社長子息!」
こ、この跡地の持ち主の………、息子!
「か、勝手に使っちゃってごめんなさい!
でも、この炭酸飲料、すっごく美味しいです!」
感謝と謝罪だけは伝えたくって、そう言うと、彼の表情が笑顔になる。
「本当か!?」
「は、はい」
いかにも社長子息らしい格好。
話し方。
整った顔立ち。
「これは僕が作った最高傑作なんだ!
自分じゃ美味しいと思い込んでしまうから、誰か
の感想を聞けてよかった。
ありがとう、えっと………」
すごい、この美味しい炭酸飲料を、私と同い年の彼が………?
「えっと、灯火 ホタルです!」
「灯火、灯火 ホタル………、隣の乳酸菌工場のご
令嬢か………、よろしく。」
「じゃあ、お互いタメでいっか!
よろしくね!」
「あ、ああ。」
震えている握り拳。
感想を聞けて嬉しそうなニヤケっ面。
整った顔立ちー………。
な、何考えてんのよ、私。
チヒロくんも、不安だったのかな。
「チヒロ!
早く勉強しなさい!」
大きな門から、何回か見たことのあるチヒロくんのお母さんが出てくる。
「は、はい……、でも、僕は、勉強ではなく、飲料
を作りたくて………。」
そんな行動も虚しく、チヒロくんは引っ張られていく。
『震えている握り拳』『不安だったのかな』
ー………っ。
「美味しかったよ!
すっごく!
こんなの作れるなんて、すごいよ!
だから、自信持って!
飲料作るの、頑張って!
また、話そうね!」
叫んだからか、喉が痛い。
彼は、嬉しそうにはにかんで………「また!」って、言ってくれた。
さよなら、炭酸の弾ける日の恋よ。 四月一日 桜🌸 @happyRiN
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