さよなら、炭酸の弾ける日の恋よ。

四月一日 桜🌸

第1話 出会い

私、灯火 ホタル。

夏影中学校一年生。

両親が、乳酸菌工場を運営してるから………社長令嬢?的な感じです。

本当、こぢんまりとした会社だけどね。

そんな私のお気に入りの場所、それは………。

「やっぱりここ、いい景色!」

隣の飲料工場の、一部の跡地。

屋根が破損してるのか、ドーム内みたいになっていて夏でも涼しい。

冬は瓦礫を隙間に埋め込めば、あったかい。

両親は休みを惜しまずに働いてるから、私の唯一の心の拠り所?みたいな。

今日も、跡地に向かった。

海沿いを歩くたびに、さざ波同士でぶつかって、音が聞こえる。

宿題が多かったからか、いつもは見える夕暮れの光が、あまり見えなくなっている。 

「あれ?」

跡地の瓦礫の上に、何か置かれてある。

「これっ、炭酸飲料!?」

暑い夏には丁度いい飲み物だ。

家では乳酸菌飲料しか飲まないから、嬉しい。

ゴクッと一口飲むたびに、しゅわしゅわと、ほどよい甘さが口いっぱいに広がる。

「ここの工場の炭酸飲料かなぁ?」

「おい!

 お前、あの炭酸飲んだろ!」

瓦礫の後ろから、声が聞こえる。

これが、私とチヒロの出会い。


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