第43話 砂上の火花!ビーチバレーは独占へのゴング

「いい提案ね、白鳥さん」


冴さんがサングラスをゆっくりとずらし、不敵な笑みを浮かべた。さくらが提案したのは、聖華vs白バラによるビーチバレー対決だった。

ただし、ただの親睦会ではない。


「勝ったチームは、今夜の夕食の買い出しに悠真さんと二人きりで行ける……。

これで異論ありませんね?」


出会ったばかりの女子高生とは思えないさくらの挑発に、凛先輩が拳をバキバキと鳴らす。


「望むところだ! 恋愛教本第850章『戦場(コート)で奪った勝利は、最高の恋の調味料』!

佐藤君、見ていてくれ、私のスパイクを!」


「……データの収集は完了しているわ」


リサがタブレットを閉じ、水着のパレオを脱ぎ捨てた。


「白バラの面々の跳躍力、リーチ、すべて計算内よ。佐藤君、あなたは審判をやってもちょうだい。特等席で私の勝利を見せてあげる」


こうして、灼熱の太陽の下、ビーチバレー対決の幕が上がった。

第一セット:重戦車・凛の猛攻。


「いくぞッ! 必殺・マッハストレート・サーブ!!」


凛先輩が放ったボールは、バレーの常識を超えたスピードで相手コートに突き刺さる。

もはやボクシングのストレートを打ち込んでいるのと変わらない。


「きゃっ!?」


白バラの部員たちが風圧で吹き飛ばされる。


「凛さん、少しは加減しなさい。砂を巻き上げすぎて佐藤君が私を見られないじゃない」


第二セット:氷壁の司令塔・冴。


「無駄よ」


冴さんは動かない。しかし、相手のスパイクが放たれる瞬間、未来を予見しているかのように最短距離でボールの下へ入り、美しくトスを上げる。


「少年、見ていなさい。これが無駄のない動きというものよ」


その優雅な身のこなしに、ビーチ中の観客(と僕)が目を奪われる。


最終セット:さくらの執念とリサの罠。


「負けません……悠真さんに、私の名前を覚えてもらうんだから!」


さくらが驚異的な粘りでボールを拾い続ける。

出会ったばかりの僕に対するその熱量に、僕は圧倒されるばかりだ。

それに対し、リサは風向きや砂の抵抗を計算し、相手の不意を突くドロップショットを連発する。

試合は白熱し、ついにはボールが時速100キロを超えるような、ボクシング部特有の超次元スポーツへと変貌していった。


「あ、あの……三人とも! 審判の僕、ボールが見えません!!」


ついに、決着の時が来た。

最後にボールを叩き込んだのは言わずもがな。


「……当然の結果ね。少年、準備はいいかしら?」


最後は冴さんの『精密すぎるブロック』が白バラ学園の攻撃を完封し、聖華高校側が勝利を収めた。

冴さんがパラソルの下で優雅にタオルを首にかけ、僕を促す。負けた凛先輩とリサ、そしてさくらさんは、砂浜に膝をついて『買い出し権』を逃した絶望に打ちひしがれていた。


「あ、あの……じゃあ、行ってきます」


僕は、殺気立つ背後の視線から逃げるように、冴さんの後を追って合宿所を後にした。

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