第2話
僕の強気な一言に男は乱暴に手を放す。グラグラと視界が揺れる。崩された髪の毛をかき上げながら男を見上げる。
「他の席行けよ、お前の頭のせいで寝れねぇからさ」
妙にニコニコしながら話す男だ。
「ここは僕の席だからそれはできない」
「は?」
どうやら言葉が足りなかったらしい。
「理解できなかったのか?」
男の笑みに深みが増す。
ダンッ
机を殴る音が教室中に響く。
クラスメイトたちが一斉に息を呑む。
視線が、全て僕に集まる。
「その金髪。目障りなんだよ。」
間髪入れずに答える。
「そう思うのなら君が席を移動すればいい。見てみたらわかるが、席ならたくさんある。みんな座らないみたいだしな。」
男の雰囲気がより一層暗くなる。僕は窓の外に視線を戻す。
「...お前さ、」
体に響く低い声。
「俺のこと知らねえの?」
男と目が合う。
「どこまで自分を過大評価しているのか知らないが、僕は君みたいな野蛮な人間は知らない。それより先に自分の名前を名乗るのが礼儀じゃないのか?」
僕の言葉に男は言葉を失ったように見えた。男は襟足まで伸びた黒髪をガシガシとかいてはじめと同じような冷たい顔に戻った。
「俺は黒田だよ。黒田座散乱木。」
「どちらが苗字か分からないような名前だな。」
黒田と名乗る男は大きなため息をついて隣の席にもどってまた突っ伏した。
クラス中の緊張の糸が途切れて、初めと同じざわめきを取り戻した。
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