第10章|新しい門出(後編)

校庭の桜の木の下で、五人は肩を並べて歩いていた。

舞い落ちる花びらが風に揺れ、まるで昨日までの思い出を祝福しているかのようだ。


「ここから、それぞれの道か……」

陽菜がつぶやくと、海翔が肩を軽く叩く。

「大丈夫だよ、陽菜。どんな道でも、応援してる」

その言葉に、胸の奥に温かい力が広がる。言えなかった日々も、すれ違った想いも、今は穏やかな光に包まれている。


莉奈も笑顔で頷き、蓮は静かに目を閉じて深呼吸する。奏は桜の花びらを手のひらでそっと受け止める。

五人それぞれの未来への決意と、友情や恋心の絆が、同じ光の中で確かに結ばれていることを感じた。


「ねえ、また集まろうね」

陽菜が声を弾ませる。

「もちろんだ」

海翔の返事は力強く、全員の心に安心感を与える。


校門をくぐる瞬間、桜の花びらが一斉に舞い上がった。

光に透けるピンク色が、これからの道を祝福するように輝く。

「怖くても、前に進もう」

陽菜の小さな声が、未来への一歩を象徴する。全員の胸の奥に、新しい希望が芽生えた。


桜色の門出――それは、別れだけでなく、新しい出会いや成長をもたらす瞬間でもあった。

五人は笑顔で互いを見つめ、胸に刻まれた日々の思い出と共に、それぞれの未来へ歩き出す。


夕暮れの桜並木に、風に舞う花びらがゆらめく。

過去のすれ違いや不安も、すべてが温かい記憶として残る。

そして、これからの道を進む勇気が、静かに胸に灯った。


桜色の光の中で、五人の笑顔が重なり合い、未来への一歩を確かに踏み出した――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

桜色の門出 藍川陽翔 @haruma888340

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ