第8話 人食い部族の集落から脱出せよ !!
「どうしましょう?このままでは石崎が食われてしまうっ」綿部隊員はストレスに目をパチパチさせながら言った。
「しかし助けようにもあの人数が相手じゃねえ⋯⋯」と遠藤教授。
「あんたはっ!隊員じゃないからそんなことが言えるんだっ」武蔵隊員が食ってかかる。
「よし、私が行こう」花岡隊長がそう言って一同の顔を見回した。「私が突撃して奴らの気を逸らすから、その間にお前たちは石崎を助けて逃げるんだ」
「しかし、それじゃ隊長は⋯⋯」山鳥隊員が不安そうに花岡隊長の顔を見つめる。
「なあに、私はお前たちが逃げたのを確認したら適当に相手をしながら逃げ出すさ」花岡隊長はそう言って余裕ありげに笑った。「お前らは知ってるだろう?私はこういう役割は得意なんだ」
我々は花岡隊長の決意の固さを感じ取った。彼がこう言い出したらあとはもう何を言っても止められないだろう。隊員たちは花岡隊長の目を見て深く頷いた。その様子にもう一度笑ってみせた花岡隊長は身を翻し、部族の群れの中へ躍り込んだ。
突然の闖入者に騒然となる人々。花岡隊長は彼らの目を惹きつけながら、舞台の方へ移動していった。隊員たちはタイミングを見計らって柱に近づき、石崎隊員を解放した。
「おいっ、石崎、大丈夫か!」綿部隊員が彼の身体を揺さぶり、頬を張る。
「う⋯⋯ううん⋯⋯」石崎隊員が目を覚ました。「こ、ここは⋯⋯」
「石崎、説明は後だ、早くここから逃げるぞ」綿部隊員はそう言って石崎隊員を起き上がらせる。
どうやら石崎隊員の肉体に異常はなさそうだ。花岡隊長の様子を気にしながらも、全員大急ぎでその場を後にした。
その後我々は無事に最初の集落に戻ってくることができた。石崎隊員によると、彼はその集落で引き続きもてなしを受け、それなりに面白おかしく過ごしていたそうだ。
そんなある日、石崎隊員は貰ったパンを片手に散歩していた。そこに突然出てきた小動物に驚いてパンを落としてしまう。パンはスッテンコロリン転がって穴のなかに落ちてしまった。食い意地の張った石崎隊員はどうにか取り戻そうとしてその穴に入る。すると足を滑らせスッテンコロリン自分も転がってしまった。気がつくと見慣れぬ人々に囚われていたという。
実におっちょこちょいな石崎隊員らしい不思議なエピソードだった。
そんな話を聞きながら我々は花岡隊長の帰りを待った。船との待ち合わせの日がやってきて、船長に頼んでその場であと3日待機してもらったが、結局彼は戻ってこなかった。我々はこれ以上彼を待つことは許されず、あとは集落のみなさんと、ヌルポくんに託して泣く泣く帰国した。
嗚呼、花岡大隊長よ、貴方はいったいどうなってしまったのか。その行方はいまだ知れず。現在隊員たちは花岡隊長捜索隊の計画を立案している。
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