第7話 潜入 !! 我々は謎の儀式を見た!
山鳥隊員を先頭に集落へ向かう。彼の言うとおりそれはすぐ近くにあった。火が大きく焚かれているようで、かえって周辺での隠密行動は取りやすい。我々は闇に紛れ集落のなかに深く入り込んだ。
どうやら人々は広場に集まっているようだ。我々はあの映像を思った。今日もなにかしらの儀式が行われるのではないか?期待に胸の鼓動が速くなる。
しばらくすると人々が移動を開始した。神輿を先頭に、その後を豪勢に着飾ったひと組の男女が続き、そして日常の格好であろう半裸の人々が連なっていく。
「これは婚礼の儀式かもしれないなあ」遠藤教授が呟く。
「婚礼ですか?」と花岡隊長。
「うん、これはなかなかいいタイミングだったね。彼らの風俗や習慣がよく分かる」
「お祝いの席とはめでたいなあ。我々もまぜてもらいましょうか?」山鳥隊員が軽口を叩く。
「おいおい、ご馳走の材料が俺たち、なんてことになったら笑えないぜ」武蔵隊員はそう言いながら、山鳥隊員の尻を軽く蹴った。大げさに痛がる山鳥隊員。
「とにかく慎重に様子を見守るんだ」緩みかけた雰囲気を花岡隊長が引き締めた。
身を隠しながらついていった先で、やはり人々はあの映像のように輪になり、中央に大きな火を起こした。燃え盛る炎が彼らを照らす。皆幸福そうに笑っていた。ここだけ見れば彼らが人食い部族だとはとても思えなかった。
その炎の向こう側には巨岩があり、像が掘ってあった。
「あれが邪神ペロペペロぺぺペロリンか!」遠藤教授が小さく感嘆の声をあげた。
その像の前に設えられた舞台のような場所に、先ほどの男女が並んで立っていた。我々はその様子が観察しやすい位置まで静かに移動すると、事の経緯を息を呑んで見守った。
部族の長か祈祷師であろう老人が前に出て、なにやら祈りのようなものを捧げている。それに合わせ人々も跪き、頭を地面に擦りつけるように祈る。壇上のふたりは互いの両手を取って、まるで歌うように声を出した。
人々の祈りが最高潮に達した瞬間、空に閃光が走った。突然のまばゆい光に思わず目をつぶる隊員たち。薄目を開けて様子を確認すると、特に変わったことはないように思われたが⋯⋯
「あっ !? 」釈迦本隊員が舞台を指さした。
その先にはあの男女。しかしなにかが違う。
「男女が入れ替わった !? 」花岡隊長から驚きの声が漏れた。
たしかに先ほど男性だった左側の人物が、少し小柄になり、胸や腰回りが膨らんだ女性に、女性だった右側の人物ががっしりした体格の男性になっていた。単に立ち位置を入れ替えたのではないことは、その顔のペイントや、着ている衣装で分かる。彼らはたしかにその性別を交換していた !!
「ああ、そうか」遠藤教授が語り出す。「以前このジャングルの他の地域を調査した時に、ある神の話を聞いたことがあった。その神はTSをこよなく愛し、時折男女の性を入れ替えて遊ぶのだという。そうだったか、邪神ペロペペロぺぺペロリンこそがその神だったんだな」
「そういえば私もむかしお祖母さんに言われました」ヌルポくんも語る。「イタズラばかりしていると神さまに女の子にされてしまうぞって⋯⋯」
「長が言っていたのは暗号でもなんでもなく、そのままの意味だったんだなあ」花岡隊長は少し気が抜けたように言った。
ともあれ我々番組スタッフは面白い画が撮れたと満足していた。撮影しても放送できるかどうか分からない人食いなんかより、この男女逆転現象の方がずっといい。撮れ高はもう十分である。ここは見つからないうちにすみやかに撤収をしたいところだ。
こちらの意向を花岡隊長に伝えると、彼も頃合いと見たか引き上げの指示を出した。後退りするように、ゆっくりとその場を立ち去ろうとした、その時 !?
焚き火の位置に丸太が運ばれてきた。まさか今日も生贄を捧げるのかと、我々の間に緊張が走った。ビデオ映像のようにその丸太を中心に薪が積み上げられていく。そこに磔になっていたのは、なんと――
「石崎くんっ !? 」釈迦本が叫ぶ。
そこには最初の集落に残してきたはずの石崎隊員が縛りつけられていた!どういうことなのか?石崎隊員が独断で追ってきたか、それともあの集落もグルだったのか?ここで我々は決断を迫られることとなった。
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