第6話 ついに人食い部族の集落を発見か !?

 ジャングルに入って3日目の早朝、我々は手早くキャンプを引き払い、目的地へ向かって歩き出した。この調子ならば本日中には到着できるはずだ。疲れはあったが、一行の足取りは軽い。


 はたして我々は人の暮らす痕跡を発見した。


「これは集落の跡地だね」遠藤教授が石の欠片などを手に取ってそう言った。「ここいらの部族は一定周期で居住地を移していくんだ。縄張りの範囲内でね」


「ということはこの位置情報の地点に辿り着いても何もない可能性もあると?」花岡隊長が問いかける。


「それに関してはなんとも言えないね。あのビデオがいつ撮影されたものか分からないしね。だけど、そうちょくちょく移動するというわけでもないから」


「行ってみるしかないということか⋯⋯」花岡隊長は思案するように口元に手を当てて、そっと呟いた。



 しかしその心配は杞憂であった。周辺に明らかに人の痕跡が色濃くなっていく。目的地も間近となった時、またも釈迦本隊員が何かを発見した。


「あっ、あれを!」彼の指さした方向に人影が見える。


 我々は慌てて身を低くし、相手の様子を観察した。どうやら女性のようだ。二人組の半裸の女性がなにやら植物を採取している。女性が歩いてこれるということは、この近くに彼女たちの集落が存在するはずだ。


 しばらく見ていると女性たちは我々に気づくことなく移動していった。


「あの後、ついていけば集落が見つかるでしょう」とヌルポくん。


「いや、しかし迂闊に近づいて見つかったら意味がない」花岡隊長は慎重だ。


「どうだろう、誰か斥候に出るというのは」遠藤教授が提案する。


「それなら僕が行きます」山鳥隊員が手を挙げる。


「危険な任務だぞ」花岡隊長が確認する。


「大丈夫です」山鳥隊員は力強く答えた。



 日が暮れかけ、ジャングルを闇が包もうとしていた。山鳥隊員はまだ戻ってこない。隊員たちのイライラは募っていく。


「さすがに遅すぎる。なにかあったに違いない」綿部隊員が爪を噛みながら言った。


「もう待てません」武蔵隊員がいきり立つ。「探しに行きましょう」


「まあ待て待て」花岡隊長がなだめる。「いま全員で動き出して、見つかってしまっては山鳥を探すどころじゃない。日が完全に落ちるまで待つんだ」


 そのままジリジリとした時間が過ぎていった。もう辺りは薄暗く周囲の様子も分からない。隊員たちは焦燥を隠せず、何度も立ち上がったり座ったりしていた。


 そんな時だった――ガサリという音が聞こえてきた。皆が一斉にそちらを振り向く。そこには全身がずぶ濡れになった山鳥隊員の姿があった。


「山鳥、無事だったのか」花岡隊長はすぐに彼に駆け寄った。


「隊長、集落を発見しました!」山鳥隊員は満面の笑みで報告する。


 この言葉に全員が沸き立った。よくやった、すごいぞ、やるなあ、といった称賛の声が山鳥隊員に浴びせられる。


「よくやってくれた」花岡隊長は山鳥隊員の肩を叩いた。「しかしあんまり遅いもんだから心配したんだぞ。集落は遠かったのか?」


「いえ、すぐそこです」山鳥隊員はそう言って照れくさそうに頭を掻いた。「実は途中で川に落ちてしまって⋯⋯少し流されました」


 隊員たちはお互いの顔を見合い、続けて山鳥隊員を見てプッと吹き出した。


「コイツぅ」と花岡隊長は山鳥隊員の額を指でつつく。


 これからやってくるであろう冒険を前にして、我々の間に和やかな空気が流れるのであった。


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