第5話 大岩とジャングルの夜
一行はジャングルの道なき道を進んでいった。ガイドのヌルポくんもさすがにこの先の行き方はわからない。GPSの表示だけが頼りだった。
木々の間を抜け、勾配のある地点に差し掛かった。慎重に登っていこうとしたその時だった。
「あっ、危ない」釈迦本が何かを察知して声をあげる。
見ると坂の上から巨大な岩石が転がってくる。隊員たちは左右に飛び退く。危機一髪 !! あと数秒気づくのが遅れていたら、あの岩に押し潰され、無事ではいられなかったであろう。しかし⋯⋯
「あんな岩がなぜ転がってきたんだ?」花岡隊長は疑問を口にする。
それは果たして自然のイタズラか?それとも我々の行動をよく思わない何者かによる妨害工作か?ともあれ我々はより一層警戒を強め、歩みを進めるのだった。
深い緑に覆われたジャングルの夜は早い。我々は日のある内にキャンプの準備を整える。比較的開けた場所を見つけ、そこの地面を均す。隊員たちはめいめい作業を分担し、居心地のよい空間を作っていった。
焚き火を囲んで談笑する隊員たち。穏やかな時間が過ぎるが、疲労も手伝って、ひとり、またひとりと眠りに落ちていく。最初の火の番を任された綿部隊員だけが、起きて周囲を警戒していた。
しかし静かな夜である。さすがの綿部隊員も激しい睡魔に襲われて、ついウトウトと居眠りをしてしまう。そのまま数十分が過ぎただろうか、夜の闇を裂くような絶叫が響いた。
瞬間跳ね起きる花岡隊長。遅れて他の隊員たちも目を覚まし、異常を探す。見ると綿部隊員の足に、巨大な大蛇が巻きついていた!その強烈な締めつけに苦痛のうめき声が漏れる。
「大変だ、早くなんとかしないと!」駆け寄ろうとした花岡隊長の肩に後ろから手が伸びた。
「俺が行きます」武蔵隊員である。彼は大蛇の前に出るとジワジワと少しずつ接近していった。
そう、武蔵隊員はこんな時のためにタイで特訓をしてきたのだ。ムエタイの選手でもあった彼は、タイの蛇使いたちの技術に着目し、名人と呼ばれる老人に住み込みで教えを請うた。いまや本職と引けを取らないほどの技を身に着けている。
大蛇の気を惹くためクネクネと怪しい動きを繰り返す武蔵隊員。その踊りのような動きに誘われて、大蛇は綿部隊員の足を離れ、武蔵隊員に寄っていく。武蔵隊員はムエタイ仕込みの動体視力で大蛇の攻撃をかわしながら、ついにはその鎌首を鷲掴みにした。
危ういところだったが、どうやら綿部隊員の足は無事なようだ。もう少し救助が遅れていたら大蛇の巻きつきで骨がバラバラに砕けていたことだろう。我々は安堵に胸をなでおろした。未開のジャングルには恐るべき野生生物が数多く存在する!全員がいま一度気を引き締め直した。
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