第9話

「さっきから出てる殺気だけ気になるんで辞めてくれるか。」

紫色の髪の女と、シンバが目を合わせ、女はニヤリと笑った。

「流石だな。才があるとは聞いていたがこれ程面白い奴だとはな。お前感じたか?我の殺気を。」

「サン坊を立ててあげたいところは山々なんですが、俺もそれなりに鍛えてるので〜」

「そうかそうか。ツクヨミの未来、世界の未来は明るいな。」

紫髪の女は大口を開けて豪快に笑っている。

「我のコード名は、ダイヤモンドだ。由来は死んだ旦那がくれた結婚指輪にはダイヤモンドが使われていたからだ。最高だろ?」

(え…重。)

「名前はギルティーノって言って、年齢は…」

ダーーーンッ

横に居たはずのシンバはダイヤモンドによって頭から壁にめり込んでいる。

「へ?」

(何も見えなかった…)

「おい、名前は伏せてた方が雰囲気出てかっこいいだろ!!!」

(そこかよっ)

「……コホンッ…さて、サン。早速だが、我のペットになる気は。」

「無い。」

「そうか。死んだ犬と同じ名前でな。生まれ変わりかと思ったんだがな…また生まれ変わって出会える時が楽しみだ!」

(え…重。でもやっぱり明るいんだよな。)

「サン。才については分かってきたか?」

「ああ。大体はギルに聞いた。」

「そうか。なら話は早い。我の才は、希少才1個と才を1個持っている。」

「希少才?」

「何も難しくない。この世には才をコピーする才や、才自体を奪取する才なども存在する。その影響をも受けない才は希少才(きしょうさい)と位置づけられている。」

「ふーん。2個も持ってんのかすげえのな。」

「我の才は、ポジティブの才。希少才は、時間干渉の才だ。」

「ふーん。そんな事俺に言ってよかったのか?」

「ああ、問題ない。少しでも情報でも漏らせば裏切った者とし、処刑できる口実になっている。」

「へー、脅してんのか。」

「さぁ?お前次第だな。サンが何者かのスパイの場合脅してるという言い方は確かに該当するな。」

「分かった。」

「ん?才の事はもういいのか。どんな才で、発動の条件は。など聞かなくていいのか。」

「いや、いいよ。頭がいっぱいで途中から何も入ってきてねえし。じゃあなっ!!」

「そうか。しかし、小さな見落としから、取り返しのつかないことにならなければいいな。」

サンが手を振り、部屋から出ようとすると。

「まだだよ。サン坊。」

シンバの冷静な口調に驚き、足が止まる。

「ああ。これからが本題だ。早速だが、初任務、兼、入隊試験内容を言い渡す!『ユアン国、首都ハリー・ボーテ』へ向かい、バツサイとの噂が絶えない。何も殺せとは言ってない。その証拠を持って帰ってきてもらいたい。以上だ。行け!」

「嘘だろぉ〜ボス〜、、俺たちそこから来たんだぜ〜?

「何処だ?そこ。」

「世間知らずのサン坊でも自分の暮らした国の名前くらい知ってると思ってた〜」

「あの国にもそんな大層な名前があったんだな…てかまた戻んのかよ〜」


―『ユアン国、首都ハリーボーテ』次の目的地は決まった。―

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