第7話
「おーい!シンバ!ギル!」
「お〜!サン坊!決まってんね〜!似合ってるじゃんか〜」
「ピーマンが選んだんだぜ!」
サンが満足気に言うと
「キーマンが〜?どうゆう風の吹き回しだよ〜このこの〜!」
シンバがキーマンの背中をなかなかの強さで叩いている。
「あとさ!ジョインがこの街に居たっ!!!」
「へ〜…『は???!』」
突然の重大報告にギルとシンバが被せて驚く。
「ジョインは??ど、どこにいる?なぜに平然としてるんだ?何がどうでどうなってるんだ?」
ギルが言葉を詰まらせながら応える。
「それはピーマンが…」
「サンッ!!!」
キーマンがサンの言葉を止めた。シーンとした空気で静まり返ると、
「キーマン、そんな声も出るんだな〜!大きな声初めて聞いたぞ〜」
とシンバがからかう。
「で?キーマンがどうしたんだ?」
(なんだ?ピーマンの奴、急に……ハッ!!才の話しちゃいけねえんだったな…あっぶねぇ〜)
「ピーマンが来てよ。一緒に走って撒いたんだけどよ。逃げたこと恥ずかしいからってギルとシンバに内緒にしようなって話してたの忘れてたんだった…ハハハ…」
(どうだ?苦しいか?…)
「いや、敵が何人居るか分からない時点で、サンを庇いながら戦うのは現実的じゃないだろう。何も恥じることはない。英断というものだ。」
「そういうこと〜!恥ずかしいなんて人間っぽい所あんのね〜意外だね〜!」
「胸張れる行為ではないからな。極力伏せたかっただけだ。大きな声を出した。すまない。」
(あ…やばい。今絶対こっち見てる。ごめんって!!)
「よし。それじゃあ、本部へ向かおう。潜水艦へ乗り込むぞ。」
また黒い物体が海中から上がってくる。
(うん。やっぱりかっこいいな。)
サンはそんな事を考えながら、本部へ向かう潜水艦へ乗り込んだ。
―この後、何が待ち受けてるとも知らずに―
「そういやさ、才持ちって希少なんだろ?」
「あぁ。ツクヨミで公表されているのは、お前を含まずに数えると5人だ。」
「なんで、ハブったんだ?今。」
「それは、サルはまだツクヨミじゃないからな。」
「へっ?」
(え、何。じゃあ俺、ツクヨミ背負って、これから生きて行こうとしてたの、だいぶ恥ずかしいじゃん?)
押し寄せてくる羞恥心と闘いながら平然を装う。
「5人?まあまあいんだな!!」
「サン坊〜、何分の5だと思ってんのさ〜」
「秘密の組織つっても、バツサイと敵対してる組織っつうんだから、50人くらいは居てもらわねえと困るぞ」
「その800倍だよ〜多分。」
「え。850人?!」
「40000だ。バカザル。」
「うっうっせえ!!今、言おうとしてたんだ!!」
「単純にこの世界の才持ちは、5/4000じゃないよ。『そういう奴ら』が集まってくるのがツクヨミだからね〜。この世界の人口は俺は忘れちゃったけど〜、頻繁にいる確率ではないことだけは確かだよ〜」
「5人の才持ちはそれぞれ部隊を率いる、軍隊長だ。コード名は、ゴールド、シルバー、コッパー、プラチナ。そしてボスのダイヤモンドだ。」
「ダイヤモンド?なんか一つだけ異質だな。」
「なんでもボスのこだわりのコード名らしいよ〜」
「てことは、皆の名前もコード名なのか?」
「俺たちは特に役職もないからね〜わざわざコード名使うと覚えきれないよ〜」
「ギルってば、知識量すげえな。才持ちじゃねえって勘違いじゃねえのか?」
ギルの知識量に驚嘆していると
「え〜俺は〜?」
シンバが何か言いたげだが、ギルも気にせず話を続ける。
「ツクヨミに居たら聞く名ばかりだ。そのうち覚えようとせずとも、自然と記憶に残ってると思うぞ。」
「俺は何回聞いても忘れちゃうんだけどねえ〜」
「お前は覚え無さすぎだ。」
(まただ。2人の距離感気になるんだよな〜)
「お前達、いつから知り合いなんだ?」
「え〜忘れちゃった〜」
「俺は任務の事故で、断片的に記憶の喪失があるんだ。だから俺もあんまり詳しくは思い出せないんだ。」
(これは…隠してるな…)
「俺、別に偏見とかないから!!!応援するぞ。」
「?。よく分からんが…応援ありがとうな。」
このやり取りにシンバは腹を抱えて笑っている。
(無理に笑わなくて良いんだぞ。俺は理解してやれる。器の大きい男さ。)
「あ〜おもしれ〜、それなのにもう本部着いちまうよ〜」
―サンの誤解が解けるのは、まだまだ先の話になる―
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