第3話

「本部は海に囲まれている。そのため、海から行く。」

「驚くなよ〜サン坊〜!」

シンバはサンの反応が待ちきれないでいる。

「驚くったって、なんもねえんじゃ驚きようがねえだろ。」

そう言ったのも束の間、海中から何やら黒い物体が、上がってきている。

「なんだ?漂流物か?」

その物体は何やら生き物のような形をしている。

「そういやサン坊、外出たことねえんだっけか。これは潜水艦だ。つっても小型だけどな!」

これが、潜水艦っ!なんだよ。かっけえな。

「ふぅん…どこから乗るんだよ。」

サンは興奮を悟られないように平然を装う。

「こっちだ。」

ギルから案内され、中へ入る。

「疲れただろ。一旦休んで、頭整理してろ。」

「あぁ、そうさせてもらうよ!!絶対殺すなよ。」

サンは改めて念を押した。

「へいへい〜!…ん?どうしたギル。」

「いや、なんでもない。」

ギルはニヤリと笑った。

(あいつのパンチ…受けた手がまだビリビリしてやがる。こりゃとんでもねえもん拾っちまったようだな。)

「ハッ、、、フフフフ、、、ハッハッ」

ギルもまた期待と興奮を抑えられないでいた。

「おい、ちょっとキモイぞ〜」


その頃のサンは、部屋にある簡易ベッドへ横になり天井を眺めていた。

なんだか色んなことありすぎて、さっぱりだ。

それなのに、何故か、ワクワクしてたまらない。

「ん〜休めっていってもな〜……」

これからの未知の世界にサンは胸を踊らせていた。


しばらくして、潜水艦内のミーティングルームへ集合となった。

「よし、みんな集まったな。」

「まずは、俺たちが何者かについてだ。」

サンはギルの話出しに緊張が走る。

さっそくか…。殺し屋だ。とか言われたらどうする。

その時は外に出て逃げよう。って外は海やないかーい。まさか…最初から逃がす気なんて…ねえんだ。

サンの緊張を余所にギルは続ける。

「俺たちは『ツクヨミ』という組織の人間だ。」

「へ?ツクヨミ?聞いたことねえ。」

聞き馴染みのない言葉に困惑する。

「無理もない。ツクヨミの存在は、『バツサイ』が表に出ないように根回ししているからだ。」

「バツサイ?ジョインの居るところだろ?あんまよく知らねえけど、悪いやつやっつけてんだろ。良いじゃねえか。」

サンは全く理解出来ずに呆気らかんな態度を取る。

「い〜や、サン坊〜。悪いやつに『罰』と『制裁』を与える。略してバツサイ。聞こえは良いが、本当の根幹の部分はクソだぞ〜」

シンバは溜息混じりに応える。

「それについては、後々話すとして。そのバツサイの敵対勢力が俺たち『ツクヨミ』だ。そして、本日よりお前もその内の1人になるという訳だ。」

ギルの常軌を逸した言動にサンの頭に血が上る。

「はぁ?!馬鹿じゃねえのか?はい、分かりました!って言うやついると思ってんのか?思ってんなら見通し甘々すぎて潰れるぞ!この組織!!」

サンは声を荒らげ、息が乱れる。

「ほう…なら殺すが?」

ギロリと睨まれたその瞬間―

「はい!分かりました!!名前サン!!苗字はありません!!!今日からオナシャス!!!!」

サンは変わり身の速さを披露したのであった。

「ハッハ、俺、サン坊好きだぜ〜」


どうなるか?そんなの考えても分からねえもんは、考えてもしょうがないって誰か言ってただろ。

つまりしょうがないって事だ。この状況はいつかなるべくしてなった、俺の運命だ。そう言い聞かせるしかないだろ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る